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故郷は青き星
第七話
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。年少パイロットだと言うのに、いや年少パイロットだからこそか、凄い腕前だった。今回も期待させてもらうぞ」
 当然の事だが年少パイロット達の技量は高い。平均的なフルント人パイロットの水準を大幅に上回る。
「こちらこそだよ」
 内心、やり過ぎないように手を抜いてるんだけどなと思いながらもエルシャンは応じ、部屋の中心に置かれたテーブルの席に着く。
 今回の任務は敵艦隊への奇襲であり、特に出撃のタイミングが重要になるため、予め作戦参加パイロットを仮想空間に召集しているので長ければこのまま数時間待機する事になる。
 そのため、同調前にパイロットスーツの着用が推奨されている。実際に戦闘機に搭乗するわけでもない実際の身体に着用するパイロットスーツには、当然ながら対G機能や身体の反故機能は備わっていない。あるのは作戦の長期化に備えた生理機能の補助。つまり食事と排泄機能だった。無痛針による栄養剤の投与とトイレ機能。この2点を備えている。
 同調中は同調機のAIが肉体の生理機能などを管理するため、通常の1時間。長くても2時間以内の任務程度なら我慢させる事も出来るのだが、何事にも限界はあった。

「エールは来年は正規パイロット資格を取るのか?」
 通常資格試験はあるが、年少パイロットは15歳になった時点で本人が拒否しない限り自動的に正規パイロットの資格を得る。
「いえ、来年はまだ……」
「じゃあ、再来年か?」
「ええ、まあ……」
 まだまだ先だよと思いながらヴォーロの質問を曖昧に誤魔化したエルシャンは逆に質問を投げかける。
「そういうヴォーロって幾つ?」
「俺か? 俺は20歳。15からパイロットをやってるからキャリアは5年だ」
「キャリア5年で、少尉って昇進遅くない? 前回の戦闘でも良い活躍してたし、腕はかなり良い方だよね?」
 前回の出撃で、エルシャンとヴォーロの所属していた大隊──大雑把にまとめると、2機編成の分隊。分隊x2で小隊(4機編成)。小隊x3で中隊(12機編成)。中隊x3で大隊(36機編成)。大隊x2で連隊(64機編成)。連隊x2で旅団(128機編成)。連隊x2で師団(256機編成)が基本となるが、大隊以上には司令部直属の小隊などが存在し、その小隊は4機編成とは限らず、また複数の小隊が存在する場合もあるため、各部隊に所属機の数は流動的だが1個師団はおよそ300機で編成されるのが普通。そのため一隻の航宙母艦に所属するのが1個航宙師団となる──は、同じ連隊に所属する大隊が突出し、それに引きずられる形で敵内に孤立する事になった。両大隊は短時間に損耗したが、残された少数のエース級のパイロット達は、敵を倒す事よりも、1秒でも長くその宙域に留まり続け敵を足止めするための壮絶なサバイバルを繰り広げる事となった。
 その際に互いに僚機を失ったエル
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