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DQ3 そして現実へ…〜もう一人の転生者(別視点)
現実は重く悲惨だった!
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の者が年端もいかない子供で、今の私より年下ばかりだろう。
大人も居るが、状態は酷い…
両手足を切断されてる男・衰弱が激しく死にかけてる老人・右目や頬をえぐられている妊婦など…

「此処は………?」
お父様が乾いた声で問いかける。
「此処はアタシ達の唯一の住処だ。アタシ達は此処で寄り添い生きている…」
違う…それは分かっているのだ…お父様が聞きたいのは何故こうなったのかだ…
そう言おうとしたのだが声が出ない…
彼女もそれが分かっているのか、抑揚のない声で語り出す。
この国の荒れた現状…

リュカの問いにフィービーが抑揚無く答える。
そして教えてくれる…この国の状況を…彼女等の境遇を…
『特務警備隊』と呼ばれるクズ共の悪行…
そして、そのクズ共に何をされたのかを…

「…ねぇリュカ、あの娘を見てよ…」
フィービーが1人の少女を指差し囁く様に語る。
「彼女はリサ…この国でも有数の名家の生まれなんだけど…お父さんが税率に対して不平を言った次の日に、特務警備隊が家に押し寄せて、彼女の目の前でご両親と3つ年下の妹を殺したんだ…お母さんと妹は犯されて…勿論彼女も…」
指差した先には、一人の少女が虚ろな瞳で壁にもたれている。
年の頃なら14.5歳の少女は焦点は定まらない虚ろな目で壁にもたれている。

私は耳を塞ぎたくなった。
ゲームでは語られていないこの惨状に!
何も聞きたくなかった、ドラクエは楽しいゲームなのだから!
「此処に居る人で、奴等に何もされてない人はいない…私も道を歩いてただけで犯された…好きでもない男に無理矢理処女を奪われたんだ………」
だが彼女は語るのを止めなかった。
こんな事実、苦しいはずなのに…思い出したくないハズなのに…

そして顔を上げ、お父様を見据えながら言葉を続ける…
「リュカ…さっきアタシに言ったね…『何故スリをしてるのか…何故そうなってしまったのか…』と…」
ただ無言で頷くお父様。
「この国じゃ物乞いをしても誰も何もくれやしない!特務警備隊に見つかれば、またあの悪夢を見せられるだけ…だから盗むしか無いんだ!………そしてアタシしかそれが出来ない……見て、みんなを…」
しかし私は見る事が出来ない…辛くてみんなを見る事が出来ない…
私の心は憤りを感じ苦しくなる。
どうすればこの気持ちは収まるのだろうか?誰か教えて下さい…誰か助けて下さい!




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