第七話 初めての市場
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ため電気による肉体活性を行い一時的に身体能力を強化させ、背負いながらまた走る。正直それでもしんどい。俺はすれ違う漁船の乗員達の驚く顔を見ながら目的の陸地へと一直線に向かっていった。
そして無事港に到着したのだが大勢の人が俺の周りに集まり、大騒ぎになっている。
「おい、何だあの馬鹿でかい鮫! 体長四十メートル以上はあるぜ」
「もしかしてあれ鰐鮫じゃねぇーか!?」
「鰐鮫っ!? 捕獲レベル27の大物だぞっ! 初めて見たぜ」
「最近ここら一帯の生物が食い荒らされてるって噂があったが犯人はこの鰐鮫のだったようだな」
「しかも見てみろ。ノッキングされてやがる。生け捕りだぜ」
「うちの店に出してぇなっ! 売ってくれないかなぁ」
「あいつ美食屋か? あの鰐鮫を捕獲したにしては随分若い兄ちゃんだな」
呆気にとられている俺を尻目にどんどんと野次馬は増えていき、見る見るうちに人が増えていく。いや、確かに人には会いたかったがこんなには望んでないぞ。さて、どうするかと困っているとその野次馬の中から一人俺に向かって色黒の男が歩いてきた。
「よう! 随分な大物を仕止めやがったな。っと悪い、その前に自己紹介しなきゃな。俺の名前はトムだ」
「あ、あぁよろしく。俺の名前は……名前は……」
何だ?あれ?名前が出てこない。まさかあの無人島生活で自分の名前を忘れちゃったのか。いや違う。いくら何でも十八年も共にした前世からの名前を忘れるはずがない。昔の思い出話だって薄れてはいるものの思い出せたんだ。自分の名前ぐらい思い出せるだろ。
「お、俺は……」
「……訳ありみてぇだな。取り敢えずこっちこいよ。そのデカい鰐鮫をいつまでもここに置いとくわけにもいかねぇしな。俺が確保してるスペースがあるからそこに置いとけばいい。何、売ってくれと言ってるわけじゃねぇんだ。その辺は安心しな……できれば売って欲しいけどな」
「あっまたトムの所の美食屋だったのか!? ちくしょう、狙ってたのに」
「クッソ〜運良いよなぁ。この間だって有望な美食屋と契約したってのによ」
「やれやれ、またトムか。まいったね、どうも」
笑いながら俺の背中を叩くトムのおかげで心の動揺が収まってきた。多分俺の動揺を感じ取って陽気に接してくれたのだろう。まだ少しの間しか接してないけど良い奴だということは分かる……ん?待てよ?トムだって?
そのスペースに案内して先導してくれているトムをよく見てみると色黒でサングラスをしており顔には左目から頬にかけて大きな傷跡がある。
そうだ、確か原作一巻から出てきたトムだ!うわっ!すげぇ、本物だよ。感動だぁ。前世では芸能人に対してワーキャー言う人達を理解できなかったけど、うん今ならその気持ちがよく分かる。この溢れ出る感動を伝えるた
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