■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十八話 死神の鎌が守るもの
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テムに簡単なアクセスができそうだった。とりあえずリターンキーを叩き、コマンドの入力画面を開く。
すぐにプロンプトが表示され、キーボードを介した命令の入力が可能になった。ヘルプコマンドを入力し、可能な動作の確認を行う。
カーディナル内部で作動中のプロセス群の一覧からMHCPと書かれているものを探しだせた。そのプロセスがロックしているファイルを検索すると、ロックされているファイルはたったひとつのディレクトリ内部に収まっている。引っかかったディレクトリが恐らくユイそのものなのだろう。
「ユイ」
マルバの問いかけに、ユイが答える。
「なんですか、お兄ちゃん」
「その呼び方、アイリアとかぶるから止めて。にぃでいいから」
「この喋り方だとにぃは合わないと思うんですが」
「じゃあ兄さんでもなんでもいいから。いやそんなことはどうでもいいんだ。これ、ユイでしょ?」
マルバが示したファイル郡とそれが収められたディレクトリ名を見て、ユイは驚いた。
「確かにこれはわたしです。兄さん、すごいですね。よく分かりましたね」
「まぁね。こういうのは得意なんだ。それで、これを例えばキリトのナーヴギアのローカルメモリに転送するとかできる?」
「原理上は可能です。そうですね、行なっておいた方がいいかもしれません。消去不可に設定しておけばいくらカーディナルといえども管理者の許可なく消せなくなるでしょうから」
「バッチファイル組んでくれないかな。僕がやってもいいんだけど、ちょっと不安だから」
「そうですね。私が起動している間はファイルにアクセスできませんから、わたしが自分で転送するのはできませんし。ここにバッチファイルを組みますね」
ユイが作業を始めると、アスナがマルバに説明を求めてきた。
「マルバ君、一体何を?」
「ユイをキリトのナーヴギアに転送するんだよ。現実世界でも君たちと一緒にいられるようにね」
「そ、そんなことできるの!? それじゃ、私は本当にユイちゃんとずっと一緒にいられるの?」
「ああ、もちろん。ずっと一緒さ」
ユイが振り向いた。本来ならバッチファイルは一瞬で作成できるはずだが、カーディナルシステムに見つからないようキーボードから操作していたため作成に手間取ったようだ。
「できました。それじゃ、私は一旦終了するので、転送をお願いします。転送が終了したら勝手に再起動しますので」
「ほいほい、了解。それじゃおやすみ」
ユイが一旦目を閉じると、その身体が溶けるように消えた。マルバがキーボードに短いコマンドを入力すると、先ほどユイが作ったバッチファイルが起動し、一つのプログレスバーが表示される。皆が見守る中、そのバーが埋まり、先ほど消えたままの姿勢でユイが再び出現した。
「これでユイはキリトのナーヴギアのローカルメモリに
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