第2章 真の貴族
第19話 不死鳥
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る式神は、その呼び名の通り正に神。俺が住む世界では、ある程度の信仰を受けていた存在達や。
そして、それはフェニックスも同じ。
あの炎の上に浮かんだ印を使用して召喚の儀式を行い、式神契約に応じて貰えたら、この場に顕われたフェニックスの分霊を式神として得られるようになると言う寸法なんや」
素早く呪符にその印を写し取りながら、タバサにそう告げる俺。
流石に、現在、炎を巻き上げ、その古き身体を、新しい生命力に溢れた身体へと再生中の霊鳥を直接式神にする事は難しいとは思いますが、その分霊ならば問題なく式神化する事は出来ます。
タバサに説明を続けていた俺達の目の前で次の瞬間、爆発的に炎が広がり、俺達の滞空する空間まで、その炎が嘗め尽くすかに思われた。
そして、続く少しの静寂。爆発的に広がった炎の気が徐々に収束して行き、その後に残されていたのは……。
最初に顕われた時とは、明らかに大きさが違う。しかし、衰えていた炎の気は、香木に蓄えられた木気を、炎の気に転換された新たな活力に因り補充され、再生された存在。
成るほど。木に因って生まれた火気を取り入れる事に因って若返ったと言う事ですか。
木行とは、若さや青さを表現する行。青春なども、木行に属する期間ですからね。
しかし、これは地水火風のこの世界の常識ではなく、木火土金水の五行の思想に通じる儀式だと思うのですけど……。
この儀式の元を作ったのは、この世界の魔法使いなどでは無しに、俺と同じ思想を持った仙人なのでしょうか。
若々しい炎の気に溢れた霊鳥が、その姿に相応しい生命に満ちた歌声を高らかに響かせる。
これが、フェニックスが奏でると言う癒しの歌声か。この歌声を前にしたら、俺の笛が奏でる音楽は、小学生が吹くソプラノリコーダーにも劣りますね。
……確かに元々自信が有った訳ではないですけど、これはメチャクチャ落ち込む事実ですよ、俺としては。
最初に顕われた時と比べると、明らかに小振りとなった羽を広げて、大空を目指す姿勢を整えるフェニックス。その羽に従う小さき精霊達の群れ。
そして、急降下して来た時と同じように二重螺旋の中心。……空を支える炎の柱の中心を貫いて行く紅き霊鳥。
「今回の再生の儀式も無事に終了した」
上空から、俺達に感謝の言葉を告げるかのように一声鳴いたフェニックスが、最初と同じように三度、この紅き山の上空を旋回した後、来た時と同じように南の空を目指して飛び去って行く。
「ガリア王家は盟約を果たした。故に、わたしもその盟約を果たす。
わたしの力が必要な時は、何時でも神の名によってわたしを呼ぶが良い」
そう、俺とタバサに対して告げる導く者の目の前に浮かぶ印
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