第2章 真の貴族
第19話 不死鳥
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
有りませんね。
……なのですが、ガリア王家は、そんな秘密を握っていながら、自らはその永遠の生命を求める事もなく、別の盟約をこの目の前の存在と交わしていると言う事ですか。
永遠の生命とは、権力者に取っての目標。見果てぬ夢のひとつではないのですかね。
もっとも、フェニックスが現世に干渉出来る存在かどうか、と言う問題も有るのですが。
伝承では、様々な美しい歌を歌うとか、子供の声で話すとか言う伝承が残っているけど、それって、鳥レベルの知能の可能性も有ると言う事ですよね。
永遠に死と再生を続けるけど知能が鳥では、何の意味もない可能性も有ると言う事なのかも知れないな。
刹那、南の空から朱い光を放つ何モノかが姿を顕わせる。
それは、未だ明けていない空を照らす朱い光。
二筋の直線状に並んだ火竜に守られしその姿は、正に羽族の王と呼ぶに相応しいか。
紅き山を朱に照らしながら、その山頂部分を三度睥睨するかのように旋回する霊鳥フェニックス。そして、その周りを滞空する火竜の群れ。
その並びは、フェニックスを頂点とする朱い光の二重螺旋。生命の根幹を表現する構造を体現しているのか、それとも、霊的に炎の気を、その頂点に飛ぶ霊鳥に集める為にその形を取ったのか。
そして、一声、天上の詩とも評されるやや高い鳴き声を上げたフェニックスの姿が、それまでの朱に染まった色合いから、紅蓮の炎そのものに変わる。
再生の儀式が始まったと言う事ですか。
そう思い、少し探知の精度を上げる俺。しかし……。
「大丈夫。彼は火行に属する王族。陰火に属する存在以外は彼に従う。地上と地下からの侵入を防いだ今、上空からの侵入者は有り得ない」
俺の意図に気付いた導く者がそう言った。
陰火に属する存在。確かに、数は多くないか。それに、鳥は部首の『れっか』が示す通り火行に属する存在だったと思います。
俺の知識では、そうでした。西洋ではどうなるのか知らないけどね。
ふたつの螺旋の中心を、祭壇目がけて急降下を開始する紅蓮の炎。その炎が螺旋を構成する火竜を染め上げ、明け方の空に、天上にも届く炎の柱を築き上げる。
そう。これぞ、正に天を支える紅き柱。
そして、祭壇に放たれたフェニックスの炎が新しい炎を形成する。
その炎は、再生の炎。終末を表現する、フェニックス自らを燃やしつつ有る紅蓮の炎とは質の異なる若き炎。
そして、終末の炎と、再生の炎が今、……合一した。
刹那、香木の祭壇の有った場所と思しき炎の塊の上に浮かぶ二重の円と曲線、そして、数文字のアルファベットに因って構成される魔将フェニックスの印。
そして、その印を見たタバサから、少し驚いたような雰囲気が発せられる。
「俺が連れてい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ