第2章 真の貴族
第19話 不死鳥
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「コイツらは殉教者と言う事に成ると言うのか……」
蒼紅、二人の女神が投げ掛けて来る明かりに照らし出された襲撃者達の亡骸を見つめながら、そう独り言を呟く俺。
今まで暮らして来たこの世界の仕組みが。いや、雰囲気。それに、色さえも変わって仕舞ったかのような瞬間。
何処か、光差さない闇の奥深くに潜んでいた何者かが顕われた。
現状は、そう言う状況なのでしょう。
……やれやれ。
これはまったく予想外の事なのですが、コイツら……この仮面の暗殺者たちの目的。おそらくはタバサを生きたまま手に入れると言う事に、何らかの宗教的目的が有ったと言う事なのでしょうね。
そう考えながら、タバサを見つめる俺。
少し意味不明と言う雰囲気で俺を見つめ返すタバサ。但し、表情に関しては、普段通りの感情を表現する事のない透明な表情を浮かべるのみなのですが。
……そう言えば、笛を途中で止めた理由についても説明して居ませんでしたか。
「えっとな。笛を途中で止めた理由は、いくら呼び掛けても、何の返事も無かったからなんや。
確かに、絶対に呼び掛けに答えてくれると言う訳でもないんやけど、普通は、呼び掛けに答えて魂だけの存在が顕われてくれる。そう言う種類の曲をさっきは吹いていた。
そして、通常はその魂を迷わずに冥府へと導いてやるのが鎮魂の曲なんやけど……」
一応、簡単な経過を伝えて置く俺。
但し、それ以上……。一体、何処まで話したら良いのか、悩むトコロなのですが。
確かに、全て伝えても、彼女が理解出来るとは限りません。但し、俺一人で現状を理解しようにも、俺にはこの世界の情報、及び知識が圧倒的に不足しています。
俺は、そう考えながら、自らの主と成った蒼い少女を見つめる。
凛然たると表現すべき気品を発する少女。真っ直ぐに俺を見つめているその彼女の瞳からは……。
………………。短い逡巡の時間。そして、
この場での情報の秘匿は、返ってタバサとの間に築かれつつ有る信頼関係に悪影響を及ぼす可能性に到達した。
何故ならば、彼女と俺は使い魔とその主人の関係。まして、今回の事態は、間違いなくタバサの存在によって引き起こされた事態です。仮面の暗殺者たちは、俺とジョルジュを排除した後、タバサの身柄をほぼ無傷のまま確保しましたから。
ならば、この場で告げずとも、何れ同じような場面に遭遇する事と成ります。秘匿する事に因って、一時的にタバサに余計な心配を掛けない、と言う効果は有るとは思いますが、度重なる襲撃が行われた場合、何時かタバサ自身が気付く事と成るでしょう。ならば、この場で俺の仮説を伝えて、その時までに対処方法を二人で検討して置いた方が余程マシですし、建設的だと思いますから。
今回の襲撃が、偶然、
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