第64話 周瑜の治療は命がけ? 前編
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「揚羽、すまない」
「そう思うのでしたら無茶をなさらないでください」
揚羽は私の顔を心配そうに見やりました。
「劉正礼殿、私の病はもう治ったのでしょう?ならば、隠す必要はありません」
周瑜は軽く微笑みました。
「しかし、医者に見てもらわなければ証にはならない」
「劉正礼殿、自分の体のことは私が一番承知しているつもりです。あなたの治療お陰で私は普段より調子がいい。私はあなたの言葉を信じます」
周瑜は私の目を見てしっかりと言いました。
彼女のその瞳には一切の振れも感じられませんでした。
同時に私の心には彼女に対する後ろ暗い気持ちが去来しました。
「私は不治の病を煩っておりました。このことは私の親や一部者しか知らぬこと。そんなとき、あなたから手紙を受けました。手紙の内容は士官を条件に、私の治療をするとありました。当時の私はあなたが何故私の病について知っているのか疑問でしたが、私は藁をも縋る想いで、あなたの元に参りました。切っ掛けはどうであれ、あなたは意識を失い今も立ち上がれないほど衰弱してまで、私の病を直してくださいました。あなたが本当に卑劣な人物ならば、そこまでして私を救いはしないと思います」
周瑜は私を真っ直ぐと見つめながら話しました。
麗羽、揚羽、水蓮達以外は私と周瑜の間にあった事実に驚いています。
これでよかったのかもしれません。
いずれ麗羽達以外にもこのことは話さなければいけないと思っていました。
ですが、私は周瑜に持ちかけた取引を後悔はしていません。
手段など選んでいてはこれから訪れる国の乱れを正すことなどできないし、私の未来を変えることもできない。
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