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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十五話 喜悲劇への前座
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―――グラズヘイム城内―――
城内で玉座に座っていたのは当然、城の主であるラインハルトただ一人。そして、その人物の目の前まで連れて来られ立っているのはゾーネンキント、すなわち氷室玲愛だった。先ほどまで自らの部下達に勝利とは何かと問うていたなかで氷室玲愛はナウヨックスに連れてこられ彼の目の前に立たされた。
「ナウヨックス」
ただ一言、ラインハルトはその一言で理解しているだろうと言わんばかりに声を掛ける。
次の瞬間、少女の傍にいたアルフレートはテーブルと椅子、テーブルの上には当然とばかりに茶菓子と紅茶をそれら全てが彼女の目の前に違和感なく一瞬で用意された。瞬きの間に起きた出来事。もしも今というタイミングでこの光景を見たのならば始めからこの場がこうであったかのように錯覚されるだろう。
「では、ラインハルト殿、テレジア嬢、僅かながらの時間ですが御寛ぎ下さい」
そう言ってナウヨックスは何事も無かったかのようにその城から退室していく。元よりアルフレートが城の内部に居ること自体余りない。何故なら彼は未だにその魂をヴァルハラへと謙譲していないからだ。故に彼が死して正式にその亡者の列に並び立つことで初めて彼はその城の住人として認められることになる。であれば如何に彼がラインハルトの側仕えであろうともその場にいることを快く思わぬものは多くいるだろう。
だからこそ彼は城を行き来する権限をハイドリヒ卿に与えられていながらも城に入ることを好まない。それ以前に行き来すること自体、今だからこそ出来ることであり普段から出来ることではないが。
「好きに座りたまえ。話したいことがあるのだろう。余り時間はないが―――なに、卿と話す時間位ならば取れる」
ラインハルトはそう促す。氷室玲愛は意を決したように彼に話し始めた。
「私の……いえ、
祖父
(
イザーク
)
の父はあなたですか、ハイドリヒ卿」
黒円卓の誰もが疑い、それでありながら誰一人として追及しなかったそれを玲愛は言った。
「答えてください。あなたみたいな人が、何の繋がりも無く二人も存在するはずがない」
彼と夢で見た祖父は余りにも似すぎていた。問いながらも彼女はその返答が是であると確信している。いや、むしろ否といわれても信じることは出来ない。だからこそ、リザは恐れ、血脈の罪を清算しようとして私を
贄
(
罰
)
として捧げたのではないかと疑ってしまう。
そして、その問いにラインハルトは、
「ふむ」
「あ……」
彼は玲愛の
頤
(
おとがい
)
に手を沿え上へと向かせる。覗き込む黄金の瞳はまさに圧倒的と言えるだろう。
「愛い子だ、テレジア。確かにイザークの面影がある。だが、アレの父が誰かなど、私は知らんよ」
「嘘ッ!」
その言葉は嘘にしか聞こえず、事実嘘だと疑い彼女は
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