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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
第十五話 正義の使者ガイヤー
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しい。回復には時間がかかりそうだ」
「だったらいいんだがな」
 京四郎はここで含ませた言葉を口にした。
「それはどういう意味だ、京四郎」
「そのままの意味だ」
 彼は一矢に目を向けてそう答えた。
「あの時バーム側の人間も大勢いたな。そしてあの混乱だ。何があってもおかしくはない」
「彼女がスパイだと言いたいのか!?」
「否定はしない」
 京四郎の声は冷厳なものに聞こえた。少なくとも今の一矢には。
「避難民の身元も全て確認されてはいないしな。実質的には今は不可能だろう」
「エリカを疑うのか」
「お兄ちゃん」
 ここでナナが言った。
「少し落ち着いた方がいいよ」
「何を言ってるんだ、ナナまで。俺は冷静だ」
「そう言えるか」
 京四郎の声と一矢の声、どちらが冷静なものであるかはもう言うまでもないことであった。一矢はそれを受けて沈黙した。
「言えないだろう。これはゲーテだったか」
 京四郎は一矢に言って聞かせるようにして話をはじめた。
「恋は盲目、だ。今の御前は周りが見えていない」
「そうよ。確かにエリカさんはいい人に見えるけれど」
「ナナまで・・・・・・。エリカはスパイなんかじゃない」
「どうしてそう言い切れる?」
 京四郎の言葉がさらに鋭いものとなった。
「それは・・・・・・」
 そう問われた一矢の言葉が止まった。
「確信はない。けれど俺にはわかるんだ」
「何がだ?」
「エリカはスパイじゃない、それは信じてくれ」
「御前は信じられる」
 京四郎はそう答えた。
「ナナもだ。お互い長い付き合いだしな」
「なら彼女も」
「それが甘いというんだ。俺達は長い間一緒にいた。しかし彼女は違う」
「付き合いの長さだけで人の信頼を計るつもりなのか!?」
「落ち着け、よく聞け」
 京四郎は言葉を続けた。
「付き合いが長ければお互いを知る機会も多くなる。それだけのことだ」
「しかしエリカは」
「落ち着けと言ってるんだ」
 それでも激昂しようとする一矢をそう言って宥めた。
「そうしてムキになっているだけでも今の御前はおかしいんだ。今俺達は何処にいる」
「ナデシコだ」
「そうだ、このナデシコは軍艦だな」
「ああ」
「ならばわかる筈だ。身元のはっきりしない者は怪しまれる。エリカ艦長はそうでもないようだがな」
「なら大丈夫じゃないか、艦長がそう思ってるんなら」
「そうじゃないよ、お兄ちゃん」
「ナナ」
「よく考えて、それでもエリカさんが誰なのかはっきりとわからないのよ」
「御前もそんなことを言うのか」
「ナナの言う通りだ。彼女は何処にいた」
「会談場のすぐ側だったよね」
「ああ」
 一矢は二人に対してそう答えた。
「あそこは一般人は立ち入りできなかった。警護にあたる俺達を除いてはな」
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