第十三話 ドクーガ現わる
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何かとやり方が強引だからな。議会にも軍にも敵が多いからな、あのおっさんは」
「けれどマサキさん」
ザッシュが彼に問うた。
「あの大統領は確か今のシュテドニアスの与党のトップでもあるのでしょう。それなのに」
「ザシュフォード殿」
そんな彼にアハマドが言う。
「政治の世界はそう単純ではないのだ。敵は同志の中にもいる場合があるのだ」
「どういうことですか」
「同床異夢ということだ」
ヤンロンが故事成語を持ち出して説明する。
「同じところにいても求めるものが違うということだ。これならわかるだろう」
「あ、成程」
「あの大統領は権力志向も強くてな。それで与党の中でも敵が多いんだ」
「ドレイク達と一緒だな、じゃあ」
ショウがそれを聞いて納得したように頷いた。
「どの世界でも人間はあまり変わらないのか」
「まあそういうもんさ」
トッドがショウに対してそう答えた。
「御前さんの国でも俺の国でもな。所詮人間なんてそんなもんさ」
「何かトッドの言葉っていつもシニカルねえ」
「こうなりたくてなったんじゃねえけどな」
チャムにはそう返した。やはりいささかシニカルであった。
「まあ俺のことはいいさ。そのシュテドニアスのことだ」
「うむ」
カークスはそれに応える。
「これに付け込むことはできねえかな」
「そうだな」
カークスはトッドの言葉を聞いてさらに考え込んだ。
「今のところそれが我々にとっていい状況とはなってはいない」
彼は増援のことを踏まえてそう答えた。
「だが隙は何処かに出来る筈だ」
「隙が」
「少なくとも前の司令官であるノボトニー元帥は優れた指揮官だった。それに兵も上手く統率していた」
「はい」
「今度は司令官はどうかな。そこに隙が出来るかも知れない」
「つまりは将としてどうかってことだね」
「そういうことになる」
リューネにそう応えた。
「明日の戦いではそれを見極めるものとなるだろう」
「それでは明日は前哨戦のようなものでしょうか」
「そうですな」
シーラの言葉に頷く。
「各員はそれに注意を払うように。そして隙があれば」
「そこに付け入る」
「そうだ。それでいく。よいな」
「了解」
皆それに頷いた。そして彼等は明日に備えそれぞれの部屋に戻り休息をとるのであった。その中には当然タダナオもいた。
「さて、今度の敵将はどんな奴かな」
「何か期待しているようだな」
彼のそんな様子を見てファングが声をかけてきた。
「まあね。楽な相手だったらいいな、と思ってな」
「楽な相手か」
「要するに大した奴じゃなければいいいってな。それはあんただって同じだろ」
「戦争に関してはそうだ」
ファングはそれに落ち着いた声で答えた。
「だが闘いとなると話は別だ」
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