第十二話 火星からの亡命者
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するとそこで通信が入ってきた。
「来たか」
「多分」
モニターを開く。するとそこに古風な武人といった顔立ちの連邦軍の制服を来た男が現われた。
「久し振りだな、ブライト大佐」
「はい」
ブライトは彼に敬礼して答えた。
「話は聞いている。すぐ火星に向かおう」
「はい、お願いします。シナプス大佐」
彼がアルビオンの艦長である。見れば一隻の戦艦がラー=カイラムの方に接近してきていた。白いホワイトベースに似たシルエットの艦であった。
「そちらにいるウッソ達は元気ですか」
ブライトはシナプスにそう尋ねた。
「うむ、元気でやっている。ジュンコ君やマーベット君もいるぞ」
「そうですか。ノイエ大尉はどうしていますか」
「彼はヘンケン隊に回ったよ。転属でな」
「そうだったのですか」
「本当はマーベット君と一緒にいたかったらしいがな。仕方がない」
「そうですね。それが軍人ですから」
「あちらでは子育てにも励んでいるらしい。それはそれで彼らしいがな」
「ははは、確かに」
「そのかわりにオデロに来てもらっているよ。彼も優秀なパイロットだ」
「はい」
それは事実であった。オデロは先の戦いで腕をあげ今ではロンド=ベルにおいても知られたパイロットとなっていた。ウッソと並んで優れたパイロットと評価されている。
「バルキリーの新型機も乗せているしな」
「新型機」
「そうだ。VF−19だ。パイロットは金龍大尉だ。後でそちらに合流させる」
「わかりました」
「そして他にも補充の部隊を乗せているのだが」
「何でしょうか」
「コスモクラッシャー隊だ」
「コスモクラッシャー隊」
ブライトはそれを聞いて考える顔をした。彼にとってはじめて聞く名であった。
「そうだ。大塚長官が結成した部隊でな」
「大塚長官・・・・・・。ああ、あの人ですか」
その人物についてはブライトも知っていた。連邦軍環太平洋区極東支部に所属しておりかって警官であった。だがとある功績により昇進し、今では一つの部隊の長官を務めているのである。口髭を生やした優しい顔立ちの中年の男である。
「大塚長官が派遣してくれたのだ。ロンド=ベルの為にな」
「そうだったのですか」
「彼等は一機の戦闘機に乗り込んでいるよ。コスモクラッシャーという戦闘機にな」
「コスモクラッシャー」
「うむ。五人乗りでな。小さいがかなりの性能だ」
「それは何よりです。何で今は少しでも人手が欲しいですから」
「そうだな。火星からの難民の為だ。今彼等は何処にいるのか」
「火星を脱出して今は地球に向かってきております」
「そうか。ならばすぐに向かおう。一刻の猶予も許されん」
「はい」
「指揮権はブライト大佐、君が執れ」
「私がですか」
「そうだ。大佐になったのは君の方が先だから
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