第十話 悪友との再会
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ラシックが好きだ。勿論他のも聴くが」
「それでチャイコフスキーも聴くってことか」
「そうだ。あれは本来のロシアの音楽とはかなり違うがな。いいだろう」
「う〜〜ん、俺実はクラシックは聴かねえからな」
「そうだったんだ」
「ああ。聴きたいとは思うけれどな。ただ」
「ただ。何だ?」
「好みの女がいないから。どうしても」
「結局それかい」
「あんたも本当に好きだねえ」
ベッキーとシモーヌはそれを聴いて呆れた声を出した。
「ミンメイもそれなんだね」
「・・・・・・否定はしねえ」
彼は渋々ながらそれを認めた。
「あいつともそれが元で喧嘩になったしな」
「やっぱりね。けれどその彼はどうやらロリコンみたいだね」
「それ言ったら喧嘩になったんだ」
シモーヌにそう答えた。ミレーヌ=ジーナスは十四歳のロック歌手なのである。
「向こうも言ってくれてな。ミンメイはもうおばさんだろうが、ってな。俺はそれで切れた」
「ふんふん」
三人はそれを面白そうに聞いている。
「それで喧嘩になったんだ。奴をノックアウトしてやった。だが奴もそれでへこたれるような奴じゃない。後日再戦となったわけなんだが」
「そこでここに来たというわけなんだね」
「ああ。その通りだ」
彼はそれに答えた。
「不思議なもんだよな、まさか地球にこんなところがあるなんてな」
「人間の知っているものは世界のほんの些細なことに過ぎないものだ」
ヤンロンがここで姿を現わした。
「僕もここに来た時には驚いたものだ」
「へえ、あんたもかい。それは意外だな」
「意外か」
「ああ。何事にも動じないように見えるからな」
「ちょっと、それは買い被り過ぎよ」
「確かにヤンロンは落ち着いてるけれどね」
ベッキーとシモーヌが言った。
「けれどこれで結構熱いところがあるんだから」
「そうなのか」
「はい」
ヤンロンの影から一匹の黒豹に似た獣が姿を現わした。ランシャオである。
「御主人様は内に激しい心を持っておられますから」
「あんたが言うと本当なんだろうな」
タダナオもランシャオのことは知っていた。だから納得したのだ。
「まあその赤い服を見ていれば納得できるな」
「この服か」
「そうさ。それは五行思想の火を表しているんだろ。グランヴェールの」
「その通りだが」
「心にそれがあるから出るんだろうな、服にも。俺はそう思うぜ」
「よくわかっているな」
ヤンロンはそれを聞いてスッと笑った。
「どうやら精霊等にも詳しいようだ」
「それなりにな。イギリスにいたこともあるし」
「イギリスに」
「任地でな。日本に帰るまではポーツマスにいたんだ」
ポーツマスはかってイギリス軍の軍港があった場所である。今そこには連邦軍の基地が置かれている。イギリス
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