第十話 悪友との再会
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「あいつ、生きているってだけでもあれなのにまた何か企んでいるようだね」
「あいつ?」
タダナオはそれに反応して顔を上げた。
「ベッキーさん、誰か知っているのかい?」
「まあね」
彼女は暗い顔のままそれに答えた。
「色々あってね」
「ふうん」
「あんたもそのうちわかるよ。ラングランにも事情ってのがあるんだ」
「だろうな。俺とあいつもそれに巻き込まれちまってるようだし」
彼はそれを聞いて深く尋ねようとはしなかったが納得するものがあった。
「まあ乗りかかった船だ。付き合わせてもらうぜ」
「いつも思うけれどあんたって強いね」
「そうか?」
「いや、よく違う世界に連れて来られたら騒いだりするじゃない」
「まあな」
「あたし達は元々地上には未練がないしだからここに呼ばれたんだけど。あんたもそうなのかい?」
「未練があるっていえばあるぜ」
タダナオはそう答えた。
「軍人だったからな、俺もあいつも。仕事があるから」
「だろうね」
「それにアイドルも見なくちゃいけねえ。折角リン=ミンメイのコンサートのチケットが手に入ったってのに急にこっちに呼ばれた
んだからな」
そう言って口を尖らせた。
「あいつもミレーヌ=ジーナスのアルバム買うとか言ってたしな。それを思うと無念だぜ」
「・・・・・・あんたってわりかしミーハーなんだね」
「ミーハー!?違うね」
彼はそれに反論した。
「芸術のセンスがあるのさ。音楽は芸術だぜ」
「ふうん、そんなもんかね」
「おや、あんた芸術にも五月蝿いのかい?」
シモーヌがやって来た。
「嬉しいねえ。あたしこう見えても実はバレリーナだったんだよ」
「そうだったんだ」
タダナオもこれには驚いた。
「そうさ。元々はパリで不良やってたんだけれどね。ひょんなことからなったのさ」
「へえ」
「得意なのはロシアバレエだよ。白鳥の湖も踊ったことがあるよ」
「チャイコフスキーか」
「うむ。あれはいいものだ」
ここでゲンナジーもやって来た。
「あ、ゲンちゃん」
「・・・・・・その呼び方は止めてくれ」
ゲンナジーはそれを聞いて少しムッとしたような顔をしたらしいが元々そうした顔なので外見上は区別がつかなかった。
「恥ずかしい」
「いやあ、ミオが呼んでるんでな。けれどわりかしいい呼び方だと思うけれどな」
「俺はそうは思わないが」
「そうかなあ。まあ暫くしたら慣れると思うぜ」
「慣れたくはないがな」
「まあまあ。ゲンナジーはこう見えても繊細なんだから」
ベッキーが笑いながらそう言った。
「そうそう、こう見えても意外と芸術にも造詣が深くてねえ」
「へ、そうなんだ」
タダナオはそれを聞いて意外そうな顔をした。
「読書家なんだよ。それに音楽も好きだし」
「ク
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