第七話 戦国魔神
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第七話 戦国魔神
王都ラングラン周辺から撤退を開始したシュテドニアス軍はトロイアに向かっていた。その指揮はロドニー=ジェスハ准将が執っていた。
濃い茶の髪と口髭の男である。わりかし凛々しい顔立ちをしているがその表情は何処となくユーモラスに見える。
「何ちゅうかなあ」
彼は呟いた。いい声であるが口調が合わない。ロボトニーと電話でやり取りしていたあの声だ。
「もうちょっと動きが速くならへんかな」
彼は移動要塞の艦橋でそうぼやいていた。
「これが限界です」
その隣にいるこの移動要塞の艦長がそう答えた。
「これでも全速力ですよ」
「それはわかっとるけれどな」
それでもまだ不満なようであった。
「けど敵に追いつかれたら終わりや。それはわかっとるやろな」
「はい」
艦長はそれに答えた。
「だからこそ後詰には精鋭を置き、警戒を怠ってはおりません」
「それがわし等や」
「はい」
「そやけどな。果たして連中が来たら満足にやれるかどうかや、問題は」
「それは難しいですね」
艦長は悲観的な意見を述べた。
「ラングランの魔装機の力は圧倒的ですから」
「他にヴァルシオーネとかいうのもおるしな。何であんな滅茶苦茶強いのが何機もおるねん」
「我が軍にも魔装機はありますが。強力なものが」
「ジンオウやトゥルークがありますが」
「どれもむっちゃ高くて数がないやろが」
「はい」
「それにトゥルークはもうあらへんぞ。あいつも死んだしな」
「ルビッカですか」
「ああ。まああんな屑はとっとと死ぬべきやったんやけれどな。もっと早い時に」
「はい」
ロドニーの顔が嫌悪感に歪んでいた。このルビッカという男はラングランから召還された殺人鬼であった。ラングランに召還されたが脱走してシュテドニアスの傭兵となっていた。しかし王都の戦いの直前にガッテスにより破壊されたのである。ルビッカは脱出しようとしたところを惨めに爆死した。それを見て誰も悲しむ者はいなかった。シュテドニアスにおいても祝杯を挙げる者すらいた程である。
「高いだけでそんなに役に立つわけでもあらへんかったわ。何が秘密兵器や。しかも屑を寄越しおって」
「全くです」
ルビッカはラセツの系統の人間であった。ロドニー達とは違うのである。
「ジンオウも数が少ないしな。それに思ったより強いことあらへんし」
「そうでしょうか」
「その証拠にラングランの魔装機には負けとるやろが」
「はい」
「そういうこっちゃ。強い方が勝つ、それが戦争や。ジンオウはラングランの魔装機よりも弱いということになる」
「しかしそれでは我が軍には彼等に対抗できる魔装機がないことになりますが」
「その通りや」
ロドニーはそれを認めた。
「だからこそや。用心が必要や」
「はい
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