第四話 聖戦士
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た。
「けれどこいつと一緒にいたのはたまたまさ。それを知らないわけじゃないだろうね」
「それが運命なのです」
エレはまた言った。
「あの時ショウ=ザマと共に地上に出、そして帰ったのも運命だったのです」
「そんなもんかい」
「そう、そして今貴女が私の前にいるのも運命なのです」
「そしてショウと一緒に戦うこともかい」
「そうです」
エレはまた答えた。
「そして今貴女は運命に従われる時なのです」
「嫌だと言ったら?」
「それは有り得ません」
エレの声が強くなった。
「それは貴女御自身が最もよくおわかりでしょう」
「ふん」
それを聞くと今度は微笑んだ。
「わかったよ。じゃああんた達に協力するよ」
「はい」
「ただし条件があるよ」
「条件!?」
「そうさ」
彼女は答えた。
「バストールの修理は頼むよ。あれはあたしの分身なんだからね」
「了解」
ショウ達は微笑んでそれに応えた。
「じゃあ頼んだよ。あとショウ」
「何だ?」
「今度勝負しないかい?二人でね」
そう言って妖艶に笑った。
「?」
だがまだ若いショウにはよくわからなかった。こうしてガラリアが仲間に入った。
その後フェイルの決裁でショウ達はラングランの客分となった。そして彼等もラングラン軍に協力することとなった。双方にとって大きなプラスとなることであった。これはシュテドニアスにも伝わっていた。
「また負けたそうだな」
絹の豪奢な服を着たダークブラウンの髪をした六十近い男が重層な執務室で不機嫌な顔をしていた。彼はシュテドニアスの大統領ゾラウシャルドである。
「元より予想されたことですが」
その傍らに立つ軍服姿の禿げ上がった頭を持つ老人が答えた。シュテドニアス軍統合作戦本部長のノボトニー元帥である。
「言ってくれるな」
ゾラウシャルドはこう言って彼を見据えた。
「それを何とかするのが諸君等軍人の仕事だろう」
「御言葉ですが」
ノボトニーはそれに食い下がった。
「戦争を止めるのもまた軍人なのです」
「ではどうするつもりだ」
ゾラウシャルドは一言発する度に不機嫌さを増していく。
「だからといって今すぐの撤退は危険です。暫くは戦いながら戦線を縮小していくべきかと」
「そうするしかないか」
「はい」
彼は答えた。
「ではそれは貴官に任せる。ラセツ=ノバステ大佐」
「ハッ」
控えて立っていた赤い軍服の男が答える。青い髪をした彫の深い顔立ちの男だ。
「貴官はバイラヴァで以って出撃しろ。よいな」
「わかりました」
「バイラヴァを!?」
それを聞いたノボトニーの顔色が急変した。
「あれを実戦投入するのは危険です」
「おかしなことを言うな」
だがゾラウシャルドは彼のそうした言葉を笑った。
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