第四話 聖戦士
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てからだ。それでこそ本当の素晴らしさが醸し出されるってな」
「あんた年上が好みなんだ」
「そうかもな。あいつは全く逆だ」
いささか憮然としていた。
「それから口論になり殴り合いになった。最後は俺の拳が奴の顎を撃った。それで決まりだった」
「で、次の日に雪辱を晴らすってことになったのね」
「ああ。だけどそれは伸びちまっているがな」
彼は残念そうにそう答えた。
「それだけは何とかしたいな」
「あ、二人共ここにいたんだ」
後ろから二人を呼ぶ声がした。
「ん!?」
タダナオはそちらに顔を向けた。すると急に身体が硬直した。
そこにいたのは紫の短い髪と同じく紫のミニの袖のないワンピースに身を包んだ女性であった。顔立ちは整い、その紫の瞳が印象的であった。
「あ、セニア」
リューネは彼女の名を呼んだ。
「セニア・・・・・・」
タダナオはその名を繰り返した。
「一体どうしたの?」
だがリューネは彼に目を向けずセニアに声をかけた。
「お呼びよ、兄さんから」
「殿下から」
「ええ、次の作戦のことでね。すぐに王宮に向かって」
「了解」
リューネは答えた。
「タダナオ、じゃあ行きましょう」
ここでタダナオに顔を向けた。だがそこで異変に気付いた。
「タダナオ!?」
彼は完全に硬直していた。そして顔も紅潮したものとなっていた。
「どうしたのよ」
「あ、ああ」
リューネに問われてようやく我に返った。
「何でもないよ、ちょっとな」
「何か変だよ、今のあんた」
「気にしないでくれ、何でもないから」
「だったらいいけど」
「二人共送るね」
セニアは二人に対して言った。
「乗るでしょ」
そして後ろにある車を指差した。二十世紀初頭にあったような古風な車である。
「頼める?」
「勿論」
セニアは答えた。
「すぐに行きましょうよ、さあ早く乗って乗って」
「了解」
リューネは答えた。そしてタダナオに声をかけた。
「さ、あんたも」
「ああ」
彼は頷いた。そして車に乗る。
二人は後ろに席に乗った。セニアはそれを確かめると車のエンジンを入れた。そして車は出発した。
「ねえ」
セニアは車を運転しながら後ろに話し掛けてきた。
「何!?」
リューネがそれに応えた。
「御免、リューネじゃなくて」
「俺ですか!?」
「ええ、そうよ」
セニアはそれに頷いた。
「貴方日本から来たのよね」
「は、はい」
彼は紅潮した声で答えた。
「連邦軍におりました」
「そうだったんだ。マサキと同じ国だから気になっていたけれど」
「マサキの」
「感じは違うわね。日本人って皆ああいったのだと思ってたけど」
「はあ」
「けれど貴方は違うわね。方向音痴でもないし無闇に熱くな
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