第十六話 最後の戦士その十二
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「美味しい食べ物の宝庫だし」
「いや、待てよ」
だがここで反乱分子が出て来た。それは。
軍平だった。彼は何故かこう言うのだった。
「沖縄の方がいいだろ」
「沖縄?」
「沖縄なの」
「そーきそばに足てびちにな。それにミミガーに天麩羅にな」
「沖縄の天麩羅?」
「それって美味しいの?」
戦隊の面々だけでなく敵達まで彼の言葉に身体を向ける。そしてそのうえで話を聞くのだった。とにかく食べ物の話ばかりしている。
「そーきそばは知ってるけれど」
「そんなに」
「美味いからな、沖縄は最高だ」
軍平は断言する。
「だからそこでな」
「いや、九州よ」
「そうよね」
しかし今度は菜月と麗が九州を出してきた。
「博多らーめん最高にいいから」
「九州は美食の本場よ」
「我は大阪がええですなあ」
アクマロは大阪についた。
「やっぱり。あのこてこての味が」
「あんた京都じゃないの?」
「何でそこで大阪なんだよ」
「中にあるものが呼びかけてますさかい」
だからだというのだ。
「だからです」
「だからなのかよ」
「それで大阪」
「私は京都ね」
エリは京都を推薦してきた。
「行ったことないけれど馴染みだから」
「あの、きりたんぽ駄目ですか?」
今行ったのはアスカである。
「あれ美味しいって聞いてますけれど」
「東北ねえ」
「遠いけれどどうかな」
「そうよね」
「あとわんこそばがありますよね」
アスカは何故かその目が輝いていた。そのうえでの言葉である。
「それも」
「秋田も結構美味しいのあるんだ」
「っていうかアスカさんって妙に秋田にこだわるよね」
「そうよね」
皆このことも話す。
「あんたが大阪好きなのも意外だけれどね」
「だけれどね」
ナイとメアはアクマロに突っ込みを入れる。
「そういえばあんたどっかの王子様に声似てる」
「声似てる」
「ははは、よお言われます」
その話には誇らしげに返す彼だった。
「他には鎖持ったアンドロメダの美少年や皇帝にも」
「何かカオスだな」
「そうだよな」
皆それを聞いてまたあれこれと話す。
「まあとにかく今日一日滋賀の美味しいもの食べて」
「それでいよいよ神戸に」
「最後の戦いに」
それを行う者同士のやり取りである。そんな話をしながらこの日も食べ歩きを楽しんだ。そうして楽しい旅行を続けるのだった。戦いではなく。
第十六話 完
2010・5・8
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