第十六話 最後の戦士その十一
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今度はサンダールが言った。鯉こくを食べながらだ。
「さて、この次はだ」
「次は?」
「何を」
「焼鯖そうめんだな」
誰もが聞いたことのないメニューだった。
「それがいいな」
「焼鯖そうめん?」
「そんなのもあるのかよ」
「そうだ、これが実に美味いそうだ」
こう話すのだった。
「長浜にある」
「じゃあ今度は長浜に行って」
「それ食べようか」
「そうね」
何と鯉だけではなかった。他のものも食べるというのだ。
「それで他に何あったっけ」
「デザート欲しいよな」
「それならばだ」
今度はサーガインであった。
「大津の走り餅に近江八幡のバームクーヘンがある」
「おいおい、滋賀も結構」
「美味しいもの多いわよね」
「確かに」
皆笑顔になっている。
「鮒寿司もどっかで買って」
「それで行く?」
「そうよね」
こうそれぞれ話すのだった。
そしてである。鯉を食べてだ。全員でまずは長浜に向かう。
「そうめん楽しみだな」
「ええ、あっさりしてるし」
「それから大津」
「最後に近江八幡」
もう予定は決まっていた。そうしてである。
彦根に向かう電車の中でだ。凌駕が壬琴に対して言った。その顔を見てだ。
「何かいい顔になりましたね」
「そうか」
「はい、また生き返ってから」
それからだというのだ。
「随分と」
「今こうして皆と一緒にいるせいかもな」
実際に壬琴はそれを聞いてだった。納得した顔で頷いたのである。そのうえでだった。
「それでだろうな」
「それでなんですか」
「今までこうして誰かと一緒にいることはなかった」
しみじみとした言葉だった。
「だからだな。それに」
「それに?」
「鯉、美味かったな」
それを食べてもだというのだ。
「最高だったな」
「ええ、そうですね」
アスカが今の壬琴の言葉に頷く。
「あれだけ美味しい川魚は他にいないですよ」
「また食べたいな」
壬琴の顔が微笑みになっていた。優しい笑顔である。
「皆と一緒にな」
「そうだな。これが終わったらまた皆で何処か行くんだろうな」
「鯉じゃないかも知れないけれど」
幸人とらんるも話す。
「さて、そこでまた皆で食うか」
「何がいいかしらね」
「大阪がいいんじゃないかしら」
横から芳香が言ってきた。
「皆で食いだおれでね。食べまくってね」
「そうだな、それがいいな」
暁がその彼女の言葉に笑顔で頷く。
「やっぱり大阪が最高だ」
「大阪いいわよね。それじゃあそこにね」
ランも大阪派だった。
「皆で行ってね」
「決まり?大阪よねやっぱり」
美羽も笑顔で賛成する。
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