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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
9.新しい出会いT
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出さずに移動するべきである。主脚を使って移動すればすぐには発見されないだろう。それを見越して巧は通常より電磁伸縮炭素帯の伸縮力を緩く設定しており主脚移動での振動・音量が低くなるように設定している。巧は跳躍ユニットを使わずに主脚で、息をひそめるようにコンクリートジャングルを移動した。
 


 篠崎からすればこの演習は巧の実力試験を兼ねたオリエンテーションの様なものである。この演習の映像はパンサーズのメンバーにも流しており、その評価をしながら巧と親交を重ねられれば良い。そう考えていた。
 訓練校から戦術機の訓練をするために訓練兵が臨時配属される。篠崎はそれを聞いた時上官の顔を殴りつけたくなった。確かにパンサーズは現在11人で規定に一人足りない状況である。また新任衛士が4名と多く、連携訓練をしているために訓練兵が混ざれないこともない。しかしパンサーズはれっきとした正規部隊であり、命令があれば命をかけて戦わなくてはならない。遊びではないのだ。
 しかし訓練校での評価を見ると考えを改めざるを得ない。これが本当であれば確かにこの人事にも納得は出来る。何よりも興味が湧いたのだ。厚木基地訓練校始まって以来の天才と言われている遠田巧に。
 ただこの模擬戦ではそこまで期待していなかった。ただ新任達の刺激になってくれて、遠田自身も正規兵との差を実感してもらえれば良い。そう考えていた。
「しかしセンサーに反応がないな。移動していないってことはないだろうし……、主脚の歩行で移動しているのか?」
 新任との模擬戦ではすぐに跳躍ユニットを吹かして位置がばれたり、戦闘中に市街地を動き回るのに操縦が付いていけず、障害物と接触事故を起こすということがある。その点遠田は基本をしっかり押さえているということだろうか。
「まあ並の新人じゃないってことは分かっていっ、うお!」
突然鳴り響く警戒音。網膜投影された映像には『LOCK ON』という表示が出ていた。
「なっ!?どこから?」
とっさにビルに隠れる篠崎。数瞬遅れてさっき篠崎がいた場所に模擬弾が着弾する。
(後ろだと?いつの間に…。)

 巧は演習が開始されてから、主脚移動で演習場を大きく迂回した。こうすることでもし見つかって攻撃されるとしても攻撃方向を限定することができる。また敵が演習場の中を突っ切って移動してきた場合は背後をとれる。
 そして巧の作戦は上手くはまった。演習場の中央、両機の開始位置を結ぶ線上に敵機の反応を捉えたのである。どうやらビル陰の間を縫いながらもほぼ直線で来たらしい。その動きを見ながら巧は後ろに回り込む。相手をセンサーに捉え、自分は気づかれない。そんな距離を見定めながら忍び寄り、道に出てきたところを支援突撃砲の120mmで狙い打つ。36mmでは激震の装甲に対して心もとない。しかし120m
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