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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
9.新しい出会いT
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のだ。
「なるほど、言いたいことは分かった。だが決定は変わらない。貴様の意見の正当性も認めん。」
「…理由を聞いてもよろしいでしょうか。」
「甘ったれるな!……と言いたいところだが貴様は訓練兵だ。教えておこう。貴様は訓練校に来て今の104分隊と信頼関係を築いた。それはこれから共に戦う仲間としてしなければいけない最低限のことだ。そしてたまたま104分隊には田上という隊内の和を保つ人間がいて、他の訓練兵も貴様をそこまで毛嫌いせずに迎え入れた。まあ実力で認めさせたという面もあるが。しかしな、貴様今後永遠に104分隊の連中と仲良く一緒にいるつもりか?そんなことはあり得ん。」
訓練校での教練を修了した後は任官である。帝国軍と言ってもその任官先は無数にある。大陸派兵、海軍、陸軍、本土防衛軍などの違いもあれば、基地も全国各地に点在し、それぞれが戦術機部隊を持っている。多くの場合は人員補充という形で隊に新人が派遣される。つまり任官先はバラバラで、各人が新しく人間関係を形成しなくてはならないのである。
「衛士は今世界中で必要とされ引く手数多だ。任官先はバラバラだろうし、任官後も転属なんて珍しいことではない。そこで出会った仲間とそりが合わなくても気に入らなくても出される任務は変わらない。プライベートがどうであれ任務においてはどんな部隊でも確実に連携が取れなくてはならない。部隊内で構築されるべき関係は一緒にいて楽しい友達ではなく、任務を共にこなす同志だ。確かに貴様が言ったようにパンサーズの隊員が貴様を快く思わないこともあるかもしれん。だがそれは連携訓練が上手くいかないことの言い訳にはならん。そう言うことだ。」
「はっ、申し訳ありませんでした!」
理解はできるし納得もした。しかし巧は田上達にそれを伝えるのは気が進まなかった。それでも伝えなくてはならない。巧は腹がかき乱されたような、気が重たくなるのを感じた。
◆
「みんな、少し話がある。」
訓練後の食事の前に巧がそう切り出した。田上はそれが今日巧が呼び出されたことと関係していると直感した。それに大体どんな話なのかは見当が付いている。来るべき時が来たということだ。
巧は今日上官から話された配置換えについて伝えた。
「というわけなんだ。本当にすまない。」
巧としてはこの人事は104分隊に対する裏切りで、みんなは自分を責めるだろうと感じていた。しかし周りの反応はそうではなかった。
「そうか……いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていたけどな。」
「済まなかったな…。まったく不甲斐無い先輩だよな。」
「お前と一緒に任官式に出られないってのは残念だ。でもその人事は正しいと思うぜ。」
104分隊の隊員たちは訓練課程が巧よりも遅いことに力不足を感じていた。そもそも巧がこの分隊に編入されたのは、
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