第63話 古き縁に導かれ
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
私は周瑜達と分かれた後、早めの家路につきました。
私が自宅の門前に来ると、見知らぬ女性が私の家の使用人から突き飛ばされていました。
「この野郎、二度と来るんじゃねえぞ!正礼様がお前みたいな農民に会うわけないだろが!」
彼は大声で女性を罵りましたが、私に気づくと驚いて平伏しました。
「正礼様、申し訳ございません。この女が正礼様に会わせろと聞かないもんで・・・・・・」
彼はバツが悪そうに私に頭を下げました。
「・・・・・・お前はもう戻っていろ」
私は使用人に下がる様に言いました。
「はい、申し訳ありませんでした」
彼は一言謝るとそそくさと家の中に戻って行きました。
私はそれを確認すると倒れている女性に近づきました。
「怪我はしていないか?」
「あ、あなた様が劉正礼様ですか!」
女性は私の方を見ると縋りつくように近づいてきました。
「劉正礼様、お願いいたします。どうか私を劉正礼様の元で働かせてください。下女でもなんでも構いません」
彼女は土下座をして必死に頼みこんできました。
私が虐めているみたいな感覚に陥ってきました。
「立ってくれないか。何故、私の元で働きたいのか教えてもらえないかな?」
私は居たたまれず服が汚れるのも気にせずに彼女を立たせました。
「わ、私はあなた様に助けていなければ死んでいました。だから、あなた様の元で少しでもお役に立ちたいのです!」
女性は涙を流しながら懇願してきました。
私は沢山の人々を賊から助けたので身に覚えがありすぎます。
「すまないが記憶にないのだが・・・・・・」
私は彼女に悪いと思いつつ、彼女と会った覚えがないことを正直に言いました。
「私はエン州の片田舎の生まれです。私が幼い頃、村が賊に襲われ、私は賊に瀕死の重傷を負わされたそうです。そのとき、劉正礼様が私の傷を治療してくださりました。私は意識が朦朧としていて覚えていませんでしたが、母がいつも言っておりました」
思い出しました・・・・・・。
この子があの時の女の子ですか・・・・・・。
私がまだ山賊狩りを始めたころ、酷い怪我をした女の子を救ったことがあります。
多分、私と同じ位の年端だったと思います。
それ以外、身に覚えがありません。
「あのときの女の子か!元気にしていたか?お前の母は息災にしているのか?」
私はなつかさしさから彼女に尋ねました。
「はい、母も私も元気です!母は日々、劉正礼様へのご恩を忘れたことはありません。母に私があなた様の元で働きたいと言ったら快く送り出してくれました。だから、どうかお願いいたします。私を劉正礼様の元で働かせてください」
そういう訳ですか・・・・・・
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ