第63話 古き縁に導かれ
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どうしたものでしょう。
確かに、私は人材を求めていますが、彼女はただの農民の娘だと思うので、私の求める人材像とは違います。
しかし、ここまで私を慕ってくれる人物を無碍にするのも気が引けます。
私の家の使用人として雇って上げましょう。
「私の元で働きたいというなら、働かせてあげよう。だから、立ってくれないか。それと未だ名前を聞いていなかった。名前を聞かせてくれるかな」
私は手を差し伸べ、彼女に優しく言いました。
「あ、ありがとうございます!私は満寵、字は伯寧。真名は泉です!」
私は彼女の名を聞いて驚愕しました。
ま、満寵だ・・・・・・と・・・・・・。
「私の真名は正宗。泉、お前に預ける。お前は下女などではなく私の直臣として働いてくれ」
彼女の両肩を掴み言いました。
「えっ!私のような者を直臣にしてくださるのですか!この泉、正宗様のためならばいつでも命を投げ出す覚悟です!」
泉は感極まったのか天を仰ぎ見ながら両膝をつき手を胸で組んで号泣しています。
「泉、これから私に仕えるというなら命を祖末にするな。これは私からの最初の命令だ」
彼女のテンションに危険なモノを感じた私は彼女を諭しました。
「はい!この泉の命は正宗様だけの物でございます」
泉は涙を拭きながら私に言いました。
「そうか・・・・・・ほどほどにな」
私の言ったことを彼女は聞いていない気がします。
私は自宅の門前で立ち話もなんだと思い彼女を自宅に招きました。
自宅に入ると先ほどの使用人が出迎えましたが、私の隣に彼女がいるので驚いていました。
「彼女は満寵という。今日から、彼女は私の直臣となる。住まいが決まるまで、この家に住まわせるつもだから客人として丁重にもてなすように。もし彼女に無礼を働くようなら、この私への無礼と心得よ」
「はい、畏まりました!」
使用人は私の言葉に怯えているようでした。
「正宗様、居候は心苦しいです。家事でも雑用でも何でも申し付けください」
泉が私に心苦しいように言ってきました。
「勘違いするな。私はお前を使用人として雇うのではなく、武官として雇うのだ。雑事も大事なことだがそればかりに捕われていては困る」
「それでしたら大丈夫です。この泉は体だけは丈夫ですから。それに家事は母の手伝いをしていたので慣れています」
泉は爽やかな笑顔で言いました。
「ふぅ・・・・・・。わかった無理をするな。それとまずはその服装をなんとかしないとな。今日はもう遅いので、明日にでも私の知り合いに服を見繕ってもらうといい」
私は彼女の農民服を見ながら言いました。
「正宗様に服を買ってもらうなど、この泉には恐れ多いことです!」
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