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ヘタリア大帝国
TURN53 ハワイの戦いその十二
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 彼等もそれを見て必死の顔でキャロルに話す。
「守りきれません」
「ここは撤退しましょう」
「それがいいな」
 アメリカもモニターに出て来てキャロルに言う。
「これ以上の戦闘は損害を増やすだけだ」
「祖国ちゃんもそう言うの?」
「僕も残念だが仕方がない」
 見ればアメリカは苦い顔になっている。だが、なのだ。
「しかし勝敗は決まったんだ」
「だからだっていうのね」
「そうだ、ここは撤退しよう」
 アメリカもこうキャロルに言う。
「わかったな。それじゃあな」
「けれどハワイが陥ちたら」
「生きていればまた戦える!」
 こう言ったのはアメリカではなかった。彼だった。
 ダグラスだった、彼がモニターに出て来てキャロルに対して叫んだのだ。
「お嬢ちゃんも祖国さんもここは下がれ!USJまで一気にな」
「あんた、もう来たの!?」
 ダグラスのハワイ到着は決戦の後の予定だった。しかしダグラスは今来たのだ。
 だからキャロルもこうダグラスに問う。その彼の返答はというと。
「直感で感じ取ったんだよ」
「直感!?」
「ああ、危ないってな」
 それで来たというのだ。
「どんぴしゃだったな。妹さんからも了承は得ているからな」
「そうだよ。あたしがオッケー出したからね」
 アメリカ妹もモニターに出て来た。
「とはいってもあたしはUSJに来ただけだけれどね」
「妹ちゃんまで」
「いいかい?キャロルちゃんも兄貴もさっさとUSJまで撤退するんだよ」
「今から俺の艦隊がそちらに向かう!」
 ダグラスがまた言う。
「撤退の援護は任せろ!」
「わかった。それならだ!」
 アメリカは祖国である自分が答えることでキャロルの決断を促しにかかった。
「僕は撤退するぞ!キャロル、君もだ!」
「ハワイの全軍が、なのね」
「そうだ、下がろう!」
「けれど」
「決断を迷っていては駄目だ!」 
 戦闘中、特にこうした撤退戦では躊躇は禁物だ。このことは言うまでもない。
 それでアメリカも決断を促す、それでだった。
「いいな、今はだ!」
「くっ、わかったわ」
 ここで遂にだった。キャロルも決断を下した。
「全軍撤退よ」
「そうだな、それじゃあな」
「惑星に入ったイザベラ達にも伝えて」
 そこにはフィリピンもいる。
「下がるわ、USJまでね」
「いや、もう遅い」
 ここでダグラスが言ってきた。
「ハワイはもう占領された。フィリピンさん達はもうな」
「捕虜になったのね」
「残念だがな」
「忌々しい話ね。けれど」
 こうなってしまっては仕方なかった。ここに残る理由がさらになくなった。 
 キャロルは傷ついた己の乗艦を操りハワイから下がる。撤退する軍勢の後方にはダグラスが無傷の戦力を出して自ら盾になった。

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