第2章 真の貴族
第18話 襲撃
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計画が有ったのならば判り易いのですが……。
もっとも、その場合は、残念ですがタバサの父親は誅殺されて当然の人物と成ります。それドコロか自らの生命を助けて貰い、更に騎士に任じて貰って、少なくとも生活が成り立つように取り計らって貰っているのですから、タバサ個人は、むしろ感謝しなければならない立場でしょう。
それに、タバサは自らの父親の仇討ちを考えていないと言いました。これはおそらく、彼女自身が、自らの父親の暗殺事件の真相をジョゼフが行った事なのかどうか、判っていないと言う事なのだと思います。
いや、むしろ別の可能性を考慮している、と言う事なのでしょうね。
まぁ良いでしょう。それならば、この竜殺し殿の意見を聞いて置くべきですか。
「それやったら、ジョルジュさん。アンタは、その暗殺事件の黒幕を誰だと思っているんや?
現国王がクーデター計画を察知して、誅殺したのか。
それとも、それ以外の黒幕が存在しているのか」
……ただ、もし、現国王以外が暗殺の命令を下した人間だった場合、タバサはどうする心算なのでしょうか。
今は、真相が判っていないから仇討ちを強く意識してはいません。しかし、もし、自分の父親の暗殺の真相が判って、その結果が国にも、そして民にも迷惑を掛ける事が無い相手だった場合、彼女は父の仇討ちを考えないのでしょうか。
俺の質問に、何故か周囲を包む夜の帳が、更にその闇の色を深くし、焚き火の赤と、その火を覗き込むジョルジュの顔を、ぼぉっと浮かび上がらせるように俺には感じられた。
「私の家は、現王家の公式の発表を信用しています。
王家の公式の発表は不審死ですが、少なくとも王家による誅殺とは発表されていません。故に、タバサ嬢の生命は保たれているのです。
まして、家の手の者が掴んで来た情報でも、オルレアン大公を王に即ける為の内乱の計画は存在していました。
それに、少なくとも、オルレアン大公を王に推す声は、彼の大公自らが裏工作を行い、金や地位を約束する事に因って得た物で有る事も、我が家の手の者も、そして王家の諜報網も掴んで居ました」
ジョルジュの台詞が夜の静寂の中を、ゆっくりと広がって行った。
……って、コイツ、さらっと大変な事を言ったぞ?
そもそも、兄が居るのに、弟に家督を譲れと家臣が騒ぐ、と言う事自体が不審だとは思って居たのですが、これで大分判り易く成りましたよ。
これは、そのオルレアン大公と言う人間が切っていた空手形の履行を、強く催促した連中が起こそうとしたクーデター計画の可能性が出て来たと言う事です。
「そのクーデター計画と言うのは、本当に存在していたのか?」
俺は、ゆっくりと。そして、出来るだけ低い声でジョルジュにそう聞いた。
コイツが俺の
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