第六章 贖罪の炎赤石
第三話 士郎危機一髪!?
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笑って、怒って、泣いて、悲しんで、絶望して、喧嘩して、好きになって、嫌いになって、愛しくなって…………………。
わたしは変わった……。
そして……シロウが、わたしの居場所になった。
だから、ここはもう、わたしの居場所じゃなくなった。
だから……。
ルイズが口元に柔らかな笑みを浮かべると、中庭の土を踏みしめる小さな音が聞こえてきた。息を潜め、静かにしていると、足音は段々と近付いてくる。足音は池の小島に続く木橋を渡り始めたところで唐突に止まった。
聞こえなくなった足音に、ルイズがどうしたのだろうと思った瞬間、
「ッ! きゃっ?!」
トンという軽い音と共に船がギシリと揺れた。船が傾き、ルイズは毛布から転がり出てくる。ゴロゴロと小さな小舟の中を転げたルイズは、船を揺らした犯人の足元で止まった。
「隠れんぼかルイズ?」
「……誰かさんのせいでね」
小舟の縁に器用に立った士郎が、足元に転がってきたルイズを見下ろす。ルイズは憮然とした顔で士郎に文句を言うと、身体を起こしぺたりと船の上に座った。
「良くわたしがここにいるってわかったわね?」
「カトレアから聞いてな」
「……カトレア?」
「馬車の用意は出来ているそうだ。さて行くか」
「待ちなさい」
背中を向けて逃げ出そうとする士郎の外套を掴んだルイズは、ギリギリと軋みを上げて振り返る士郎を優しく笑い掛け、
「何時から、ちいねえさまを呼びすてにするようになったの?」
「……今朝……ちょっとな」
「ふ〜ん……ちょっと……ねぇ……」
「いや、その、まあ……なんだ」
もごもごと口を動かす士郎に、ルイズはバンバンと自分の前の船板を叩く。士郎は小さく溜め息をつきながらも、ルイズの前に正座をして座り込む。
「詳しく事情を聞かせてもらいましょうか」
「詳しくといってもだな」
ぽりぽりと頭を掻く士郎に、ルイズは探るような視線を向ける。
「詳しくは詳しくよ。一体どうしたらちいねえさまを呼び捨てすることになるのよ」
「とは言ってもだな。今朝森の中で修練していた時に、ミス・フォン――カトレアに会ってな、その時色々話しただけだが」
「それだけじゃないでしょ」
「まあ確かに。巣から落ちた鳥の雛を巣に戻したり、カトレアを抱いて木の上を鳥と飛び回ったりしたな」
「抱いて? 抱いてって何? 木の上でナニしてたのよ?! ちいねえさまは身体が弱いのよっ!! それなのにいきなり外で?! しかも木の上っ!? 一体どんなプレイなのよっ!??!」
「ちょ、ちょっと落ち着けっ!」
士郎の襟を掴むと、ルイズはキスするような至近距離で士郎を睨み付ける。ギリギリとゆっくりと締め上げ始めるルイズに、士郎は両手を上下させ落ち着かせようとするが
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