第六章 贖罪の炎赤石
第三話 士郎危機一髪!?
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
イズっ!」
顔を真っ赤にさせて母と長女に食ってかかったルイズは、二人が怯んだ瞬間を逃すことなく駆け出す。静止の声を上げる二人に従うことなく、ルイズはバルコニーから逃げ出した。
「……本当に、もう大丈夫だな」
バルコニーから三リーグほど離れた森の中の木の上に士郎は立っていた。強化した視力と読唇術でラ・ヴァリエール家の朝食の一部始終を見ていた士郎は、ルイズが逃げ出すのを確認すると、木の上から飛び降りる。常人ならば下手をすれば即死する高さを、士郎は危なげなく飛び降りると、木の間を縫うように駆け出す。行き先は城の中。ルイズを追う前に、士郎にはやることがあったからだ。公爵がルイズに謹慎を命じたということは、自分たちはまだしもルイズがここから出ることは容易ではなくなった。ルイズがここから出るためには、抜け出すか強行突破しなければならない。そのため、その準備を整えるため、士郎は、まずはシエスタを見つけなければならなかった。
一応あたりはつけている。
昨日士郎たちが寝泊まりした部屋の中だ。
シエスタはメイドだが、ラ・ヴァリエール家のメイドではない。ルイズのお供としてここについて来た(強制的に連れてこられた)シエスタは、ある意味お客さんでもあるため、忙しく掃除をするメイドの手伝いをさせられることはないだろう。たとえシエスタが自主的に手伝うとしても、勝手のわからないメイドに掃除させる危険性を、わざわざここのメイドたちが取る可能性は低い。また、シエスタが忙しく掃除をしているメイドたちを気にすることなく遊びに行くというのも考えにくい。
ならば、かなりの可能性でシエスタは部屋の中にまだいる。そう結論づけた士郎は、城の召使たちがルイズを探し回っているのを視界の端に捉えながら部屋に向かっていた。
「どうやらルイズはまだ見つかっていないみたいだな」
「ルイズさま〜! ルイズさま〜!」と声を上げ駆け回る召使の様子に、さて、俺のご主人さまは何処にいるのか……と呟きながらも部屋に辿りつく。部屋の中からシエスタの気配を感じた士郎だが、礼儀としてノックをしようと手を上げたが、
「シロウさん」
ノックされることなく下ろされた。
士郎が振り返ると、その視線の先には、桃色がかったブロンドに鳶色の瞳を持つ女性。召使たちが必死になって探しているルイズによく似た、しかし、違う女性がそこにいた。
ルイズよりも背が高く、柔らかで女性らしさが滲みでる……ルイズの姉であるカトレアがそこにいた。
「どうした?」
「あら? 用事がなければ会いに来てはダメなんですか?」
頬に手を当て小首を傾げ、悪戯っぽく笑ってみせるカトレアに、士郎は小さな笑みを返した。
「そんなわけないだろ。会いに来たければ何時
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ