第六章 贖罪の炎赤石
第三話 士郎危機一髪!?
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だすため、普段の三倍増しの速度で全身に強化をかける。ルイズが脱ぎ捨てた服を足で引っ掛け中に蹴り上げ、お姫様抱っこしたルイズの上に乗ると共に駆け出した。
小舟を横転させる勢いで蹴りつけた士郎は、間一髪公爵が放った魔法をすんでのところで避けながら空を跳ぶ。
「なっ!」
「消えた?」
一瞬にして空高く跳んだ士郎の姿を見失った者達が、辺りを見渡し驚愕の声を上げる。右往左往する者たちの頭の上を越えた士郎は、地面に降り立つと共に走り出す。
「う、後ろだあああ!!」
「なっ! 何時の間に!?」
「逃がすかあああああああああああああ!!!!!」
後ろから魔法がデタラメに飛んでくる。
しかし士郎にとっては魔法よりも血を吐くように叫ぶ公爵の声が怖い。
まさに必死というように逃げ出す士郎。
疲労ではない理由で荒れる息のもと、何とか無事に門の前まで辿りついた士郎だが、目の前で巨大なゴーレムがゴリゴリと鎖が巻き上げ、跳ね橋が持ち上がっていく。風のように大地を駆けながら、士郎は必死になって頭を働かせる。
堀の幅は大きすぎる。
このままでは逃げきれない。
強化はこれで全開。
ガンダールヴの力を使おうとも、両手は塞がっている。
どうする!?
一旦ルイズを下ろしてデルフリンガーを引き抜くかと考えた士郎の前で、跳ね橋が軋み声を上げながら落ちてきた。
「なっ!?」
地響きを立て再度かかった跳ね橋に、しかし、士郎は足を止めることなく走り続ける。
橋を駆け抜ける瞬間、跳ね橋を巻き上げる鎖の一部が変色し、壊れているのを確認した士郎は、街道に止まっていた馬ではなく、竜が引いている車にルイズを放り込むと、辺りを見渡した。
「あそこか」
何かを見つけたのか、小さく呟いた士郎が、御者台に座ってガタガタと震えるシエスタに声をかける。
「すまないが先に行ってくれ」
「え? ちょ、ちょっと何を言ってるんですかシロウさん? わわわわたしりゅりゅりゅ竜が怖くて、どどどどうしたら……っ!?」
「……すまない」
「へ? な、何がですかぁあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
手綱をしっかりと持ちながらパニクっているシエスタに小さく謝った士郎は、竜の尻を叩くと、勢い良く走り出し、小さくなっていく、ドップラー効果を引きながら離れていく馬車に背中を向け歩き出した。
「まったく、無茶をするお姫さまだ」
門から離れた小さな林の中、木の陰に隠れるように身を隠す人影があった。
柔らかな桃色の髪に、鳶色の瞳。カトレアだった。
カトレアは土煙を上げ小さくなっていく馬車を確認すると、木に背を預け、よく晴れた空を見上げる。
「行ってしまった……もう、会えな
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