第六章 贖罪の炎赤石
第三話 士郎危機一髪!?
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っ!! き、気付かなかったとはいえ、なんとしつ――」
「いいから答えなさい。何かあったの?」
メイドは腕を掴まれた手を振り払おうとしたが、自分の腕を掴むのがルイズだと気付くと、顔色を真っ青にすると必死に謝りだす。ぺこぺこと謝りだしたメイドに、ルイズは片手をひらひらと振りながらも再度質問をすると、メイドは恐る恐ると顔を上げ口を開く。
「そ、その……だ、旦那様がご到着されまして……それで……」
「お父さまが……そう、ありがとう」
腰を曲げるメイドに一言礼を言ったルイズはメイドに背中を向けると一度目を閉じ、
「……さあ、正念場ね」
硬い決意に輝く瞳を開いた。
「あの鳥の骨めっ!! 何が『一個軍団編成されたし』だっ!! わしはもう軍務を退いたと言っているというのにっ!!」
日の光が暖かく降り注ぐバルコニーに、渋みがかったバリトンの怒声が響く。
バルコニーに引き出された机に、ラ・ヴァリエール家の全員が揃っている。ラ・ヴァリエール家の女性の全員がテーブルの上に置かれた朝食をとっている中、家長である公爵だけが朝食ではなく、鳥の骨……枢機卿の文句を口にしていた。
ぎゃーぎゃーと騒ぐ公爵を朝食を食べながら見つめていたルイズは、手の中にあるパンの残りを口の中に含むと、お茶と一緒にごくりと飲みこんだ。
「父さま、少しよろしいでしょうか」
「ん? おおルイズか。いいともいいとも。だが、その前にこの父親に接吻をしてくれんかな?」
「……わたしは戦争に行きます」
頬を突き出す公爵を一瞥したルイズは、冷めた表情で静かに声を上げた。
「ルイズっ!」
ルイズの発言にエレオノールが叱責するように声を上げるが、ルイズは顔も向けない。そんな二人の横で、カトレアは静かにカップを傾けている。
「馬鹿なことをいうな。お前には謹慎を命ずる。戦が終わるまでこの城から一歩も出ることを許さん」
「……わかりました。それではわたしはこれで失礼します」
「何処へ行くルイズっ!?」
「一度学院に戻り、準備を整えた後、戦へと行きます」
「なっ?!」
話は聞かないといった態度を取る公爵に背を向けたルイズを、椅子を蹴倒しながら立ち上がった公爵が呼び止める。
ルイズの振り返ることなく答えた言葉に、公爵が驚愕の声を上げると、隣りで今まで無言だった夫人が口を開いた。
「どういうつもりルイズ。魔法の才能がないあなたが行っても、ただの足でまといになるだけですよ」
「足でまといにはなりません」
ルイズは振り返ると、鋭い視線を向けてくる夫人の目を真っ向から受け止めた。怯えることなく夫人の視線を受け止めるルイズの態度に、公爵とエレオノールが息を呑む。
ルイズは一度大
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