第六章 贖罪の炎赤石
第三話 士郎危機一髪!?
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カトレアと共に巣から落ちた雛を助けた士郎が、窓から落ちてきたエレオノールを助けた後城に戻ると、城のあちこちで大勢の使用人が掃除をしていた。士郎がメイドの一人に声をかけて事情を聞くと、どうやらルイズの父親が帰ってきたのだそうだ。
「そうか。で、その公爵さまは今どちらに?」
「今は皆さまと一緒にバルコニーで朝食を取っております。ですので早く掃除をしなければならないのですっ!!」
焦った顔で士郎に怒鳴りつけるように説明するメイドに頭を下げ礼を言った士郎は部屋に向かおうとしていた足を反転すると、また外に向かって歩き始めた。足が向かう先は、カトレアと共に散歩した森。
「確かバルコニーが覗ける所があったな」
カトレアを抱えて木の上を飛び回っている際に見つけた、バルコニーが覗ける場所へと向かう。常人では見えない場所でも、強化した視力ならば問題はない。忙しく掃除をする使用人の手伝いをしようかとは思ったが、残念なことに確かめなければならないことがある。
「……ラ・ヴァリエール公爵か……さて、どんな人物なのか」
「……ん……ぁ……」
「……苦しい」
昨日の夜、士郎の膝の上で眠りについたルイズは、目が覚めるとシエスタの白い胸元が視界いっぱいに広がっていた。抱き枕よろしくシエスタに抱かれているルイズの身体は、椅子の上ではなくベッドの上にある。こんな状況で目が覚めると、昔は悲鳴や怒声の一つや二つ飛んでいたが、今ではもうそんなことは……あまり(・・・)ない。押しのけるように腕を伸ばすと、柔らかく沈み込む感触がルイズの手のひらに伝わる。その感触にしかめっ面をしながらも起き上がったルイズは、ルイズの代わりに毛布を抱え込むシエスタを視界の端に捉えながら、部屋の中を見回す。
「……シロウは……修行……かな?」
部屋の中に士郎の姿がなく、ルイズはこてんと首を傾けて呟く。
「……ん? 何ようるさいわね」
ルイズがもぞもぞと狭いベッドから降りようとしていると、人が走り回る騒がしい音がドアの向こうから聞こえてきた。騒音に顔を歪めながらもベッドから降りると、何かあったのかとドアを開けようとし、
「な、何っ?!」
「邪魔よ邪魔っ!! 早くどいてっ!」
「ちょ、ちょっと」
打ち破る勢いで開いたドアからメイドたちが飛び込んできた。
慌てるルイズを押しのけたメイドたちは、士郎が隅に片付けたモップやポリッシュの入った缶を掴むと、次々に部屋から出て行く。突然の出来事に呆然としていたルイズだったが、気を取り直すと部屋から出ていこうとするメイドの一人を捕まえた。
「っ! 何よっ!? 今いそが……し……ぃ……る、るるるルイズさまっ!!??」
「何かあったの?」
「ししいし、失礼いたしました
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