本編前
第八話 裏 (なのは担任、高町家)
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情報だけ。
その情報が確かだということはなのはの態度からも察せられたが、だからこそ、事態が余計にややこしくなった。
いじめが原因なら学校にまた赴けばよかった。その子供に指導してもらうなり、他の方法なりで決着がついたはずだ。
だが、さすがに友達が出来ないから、なんとかしてください、なんて学校に訴えるなんて恥知らずな真似は出来ない。だからこそ迷う。
どうしたらいいのか分からない。
何より、本当になのはに友達がいないのか分からない。
あのときの表情から、態度から、蔵元翔太の言葉が本当だということは分かったが、それ以降が昔のままの態度なのだから。
物静かないい子。我侭も言わない、自分のことは自分でする。
おそらく外に出せば十分自慢できる娘だろう。
そう言い切れるだけに士郎と桃子としては、分からなかった。
だからといって、友達は出来た? と藪を突くような真似もしたくない。
仮にそれが真実だとすれば、それを突きつけることで、なのはの心を傷つけてしまうかもしれないから。
なのはの心が知りたい。だが、知るためになのはの心に踏み込むことは躊躇してしまう。
どうすればいいのか、士郎と桃子には分からなかった。
娘のことだ、気楽には考えられない。だが、考えれば考えるほど思考の渦にはまり込んでしまうような気がする。
もし、気落ちしているとかなら、こちらから聞くことも出来る。だが、表面上はいつもどおりなのだ。少なくとも士郎たちの前では。尚のこと手が出しにくい。
「今は見守りましょう」
「……情けないが、それしかない、か」
本当に心の底から悔しいとは思う。だが、それ以外に士郎たちにはよい考えがないのだ。
願わくば、彼女に心の底から友人と思える人が現れますように。
見守ることとは他にそう願うことしかない自分がこの上なく口惜しかった。
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