無印編
第二十一話 裏 (すずか、アリサ、なのは)
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。杖を向けた瞬間、なのはの部屋が紫色の光で包まれる。その光の中からいつかの女性の声が聞こえた。
「こんばんは」
なのはの部屋に展開される魔方陣。そこから出てきたのはいつかの再現。そう、なのはが魔女と呼んでいる女性の登場だった。
「約束どおり来たわよ。どう? ジュエルシードを渡してくれない?」
対価は、翔太と二人だけの世界。
以前なら、彼女の提案に飛びついていただろう。だが、今のなのはがそれに飛びつくことはない。既になのはにとって翔太は唯一の友人なのだ。もう翔太を疑うことはない。二人だけにならなければ、友達ではなくなると疑うことはない。だからこそ、彼女の提案に飛びつかない。いや、それどころか、彼女の提案は邪魔なものでしかなかった。なぜなら、二人だけの世界はなのはの中では時期尚早と出ていたからだ。
だから、なのはは、警戒するように自分の周りにアクセルシューターを八つ展開した。
それを見て、魔女の表情が歪む。
「それが答え? あなたは欲しくないの? 彼との二人だけの世界が」
「いらない」
彼女の言葉に簡素な答え。しばし、にらみ合う二人。それは、魔女がなのはの意思を確認しているようにも見えた。
やがて、魔女は、ふっと表情を緩ませると、諦めたように大きくため息を吐いた。
「はぁ、あなたが頷いてくれれば余計な労力は必要なかったのだけどね」
魔女は、にぃ、と口の端を吊り上げるようにして嗤った。
「仕方ないから、もう一人の彼にお願いに行くことにするわ」
その魔女の発した『彼』の部分にビクンと反応するなのは。まさか、まさか、まさか、と思う。しかし、ジュエルシードに関係した彼といえば、なのはは一人しか思いつかない。なのはは、嫌な予感がして、待てっ! と静止の声をかけようとした。だが、伸ばした手は届かず空を切るだけだった。また、転送の魔方陣でどこかへ移動したのだ。
どこへ? 考えるまでもなかった。
すぐさま、なのはは翔太の家にこっそりと配置しているサーチャーから映像を読み取る。そこに写ったのは、なのはの黒い敵とその使い魔、翔太。そして、先ほどまで自分の部屋にいた魔女と見知らぬ女性だった。なのはには二人が何かを言い争っているようにも見えた。
―――ショウくんっ!
なのはから見ても、翔太が聞き危機に立たされていることは容易に想像できた。だから、すぐさま、なのははパジャマからバリアジャケットの聖祥大付属の白い制服に換装すると自分の部屋の窓を開け、星空が舞う夜空へと身を投げ出した。普通なら自由落下だろうが、なのはは、魔法使いだ。窓から飛び出したなのはは、そのまま靴に生やした羽を使って空をすごい速度で一直線に翔太の家へと向かって飛ぶ。
その間も
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