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リリカルってなんですか?
無印編
第二十一話 裏 (すずか、アリサ、なのは)
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おもむろにノエルが提案する。

「そうですね。でしたら、手料理などどうでしょうか?」

「お料理?」

「はい、すずかお嬢様の手料理を蔵元様に食べていただくのです」

 すずかはノエルの言ったことを咀嚼するように少し考えた。ノエルの言っているように手料理が果たして翔太と仲良くなるための一手になるのだろうか。言われて見れば、確かにお弁当の中身の交換などは友人同士でしか行わないようなことだ。その食べてもらう料理が自分の手料理であれば、自らが作った料理をおいしいといってもらえれば、それはきっとすずかも嬉しくて、もっと仲良く慣れるかもしれない、とすずかは思った。だが、それを実行するためには一つだけ問題があった。

「私、お料理作ったことない」

 すずかは、自他共に認めるお嬢様である。厨房に立つ必要がなかったすずかは、料理を作ったことなど一回もなかった。もしも、すずかが中学生ぐらいになれば、料理の一つでも作れなければ、となっていたかもしれないが、今はまだ小学生なのだ。作れなくてもある種当然ともいえた。

 だが、そんな心配を見通してか、ノエルは、微笑みながら言う。

「お嬢様、大丈夫です、私たちがお教えしますから」

 ね、とノエルはファリンの方に向き直り、ノエルに話を振られたファリンは、飲んでいた紅茶を慌てて飲み干し、カップを置いたと思うと、コクコクと頷くのだった。

 こうして、すずかは、ノエルとファリンの手助けを借りながら少しずつ手料理を習い、お弁当のおかずを一つずつ作っていくことにした。幸いにしてすずかには、料理の才能が皆無というわけではなかったらしい。少しの教えで妥当といえるレベルまでは簡単に作れるようになっていた。

 そして、練習の果てに作れるようになった卵焼きを翔太に初めて食べてもらった。その卵焼きを翔太はおいしそうに食べてくれる。感想もおいしいの一言だったが、すずかはそれだけで満足だった。確かにノエルが言うように仲良くなりたい人に手料理を食べてもらって、おいしいといってもらえるのは嬉しくて、心の真ん中に淡い光が灯ったように温かくなる。思わず、顔が笑顔になってしまうほどに。

 その気持ちをもう一度、感じたくて、翔太にもっと自分の手料理を食べてもらいたくて、仲良くなりたくて。すずかは毎日、新しいおかずに挑戦しては、お弁当に詰めていくことにした。懸念事項としては、今までよりもお弁当のサイズが大きくなってしまうことだろうか。しかも、残念なことに翔太と毎日一緒に食べられるわけではない。それは前からそうだった。自分とアリサは常に一緒だが、翔太は、いつもすずかたちと一緒ではないのだ。クラスの男の子と食べることもあるし、他の女の子と食べることもある。

 本当は、自分たちと一緒に食べて欲しいし、お弁当のおかずも
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