無印編
第二十一話 裏 (すずか、アリサ、なのは)
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誰かに食べてもらう料理が楽しいと言ったのは、ノエルだっただろうか、ファリンだっただろうか、と月村すずかは朝の早い時間に目の前のフライパンで音を立てている卵焼きを見ながら思った。傍では、月村家のメイドであるノエルとファリンが傍に仕えていた。料理を作り始めた当初こそ、心配そうにはらはらと見ていたが、最近は特に何も言われることなく作れるようになってきた。
すずかが、お弁当を作ろうと思ったのは、なんのことはない、翔太のためである。正確には彼とより仲良くなるためである。翔太にすずかの中の最大の禁忌である吸血鬼の秘密がばれてしまった後、彼女にとっての最大の禁忌をあっさりと受け入れてくれた翔太ともっと仲良くなりたいと思っていた。
翔太と仲良くなることは決して悪いことではない。だから、思い立ったが吉日とばかりにすずかは、仲良くなるための行動を考えた。だがしかし、そのための方法を考え付くのは容易なことではなかった。なぜなら、すずかが思いつくようなことはもうすでに翔太と一緒に行っているからだ。
お茶会、買い物などなど彼女の趣味である読書等を参考にした仲良くなるための方法は大半が実行済みだった。しかも、仮に今までやっていないことがあったとしても、それらの方法は総じて、今は無理なことが分かっている。なぜなら、翔太は今、別の女の子の手伝いをしているからだ。平日、休日問わず、塾すら休んでだ。そのおかげで、すずかと翔太の時間は一ヶ月前と比べると相当目減りしている。しかし、彼女との時間がなければ、このような事態になっていなかったであろうことを考えれば、なんたる皮肉だろうか。
そんな風に考えても仕方ない。どうせ、そんな異常事態もあと少しで終わるのだから。以前、アリサが別の女の子について問いただしたときに翔太は、一ヶ月だけだといった。ならば、すずかはそれを信じるだけだ。まさか、途中でやめろとは言える筈もなかった。
それよりも、如何に翔太と仲良くなる方法を考えるほうが先決だった。だが、考えたところで、簡単にその話が浮かぶはずもなく、少しの間、一人で悩んでいたすずかだったが、やがて、区切りをつけると誰かに相談することにした。三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものである。ただ、相談する相手は選ばなければならなかった。まさか、友人のアリサに相談できるはずもない。ならば、と考えたとき、浮かんできたのは、月村家のメイドであるノエルとファリンだった。ある程度、翔太とすずかのことを知っており、かつ深入りしないような人物。相談するにはうってつけのように思えた。
それを思いついたすずかは早速相談。ノエルとファリンの仕事の合間を狙って相談した結果、少し腰をすえて話をしようということになり、紅茶と共にテーブルを囲んだ。そして、しばしすずかの相談内容を話した後、
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