無印編
第二十一話 後
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「う〜ん、嫌というわけじゃないけど……寂しいよね」
なのはちゃんと二人だけになることは、最近は多いような気がする。勉強するときだって、なのはちゃんの部屋を使うこともあるし、勉強の後にクロノさんとは別に魔法の練習をすることだってある。そのときは、なのはちゃんとは二人きりだ。だが、二人きりというだけで、周りに誰もいないか? といわれるとそうではない。あくまでも二人だけの空間というだけで外には生活音に溢れている。だが、今のこの世界は、本当に二人だけの世界のようで、僕たちの他には気配も音もない。本当に二人っきりの、二人だけの空間だ。それは、いつも音に溢れている僕からしてみれば、とてもとても寂しい気分になってしまうのだ。
「……そうなんだ」
僕の答えに少しだけ、残念そうに、しかし、何かを考えるような表情をするなのはちゃん。
なのはちゃんにとって僕は初めての友達だ。しかも、一年生の頃から数えて初めてだ。つまり、丸々二年間でようやく得た成果とも言える。人なので成果というのは微妙だが。だからこそ、僕を手放したくないと考えるのも自然な流れだろう。つまり、なのはちゃんはこの状況を肯定してもらいたかったのかもしれない。
その感情は今は仕方ないのかもしれない。求めていたものを手に入れれば、手放したくないのは当然だから。だが、それも今だけだろう。他に友人もできれば、その感情が向かう先が僕以外にも出てくる。そうなれば、きっとこんなことを考えることもなくなるはずだ。
「さあ、さっさと片付けてしまおう」
残りは6つもあるのだ。さっさと片付けてしまわないと日が暮れてしまう。今は太陽が南中する直前だ。日が暮れた海には流石に潜りたくない。そんな僕の思いが通じたのか、先ほどまで思案顔になっていたなのはちゃんも笑みを浮かべてくれた。
「うん」
それから、数時間後。僕たちは海底に沈んだ6つのジュエルシードを無事に封印することに成功し、ゴールデンウィークの中日である今日の夕方になのはちゃんのレイジングハートのジュエルシードを除けば無事に21個のジュエルシードの蒐集が終わったのだった。
◇ ◇ ◇
ジュエルシードの蒐集が終わった日の夜。僕は、いつものように母さんが寝ている部屋に僕とアリシアちゃんとアルフさんで一緒に布団に入っていた。アリシアちゃんが真ん中の歪な形の川の字だ。最初の頃は、なんとなく後ろめたい気持ちがあったが、今ではもはや慣れてしまった。僕の部屋の存在意義は何なのだろう? と考えてしまうことがある。たまには部屋のベットも使ってやらないと、と思う。
「ねえ、アリシアちゃん」
「なに? お兄ちゃん」
半分寝ぼけ眼になっていたアリシアちゃんに僕は話しかける。それは、不意
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