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リリカルってなんですか?
無印編
第二十一話 後
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級だ。教え甲斐のない生徒などではなく、むしろ教え甲斐のある生徒だったため、僕も少しなのはちゃんに宿題を教えるのが楽しくなっていた。やはり、自分が教えることで、誰かが物事を理解してくれるというのは嬉しいものである。

 さて、今日はどんなことを教えようかな? と考えながら、僕となのはちゃんはアースラの食堂に向かうのだった。



  ◇  ◇  ◇



 ちゃぽん、という音共にラウンドガーターという360度包囲型の防御魔法に包まれた僕たちは海の中へと沈んでいった。目標は、この真下の海底にあるはずのジュエルシードだ。

 海底の捜索から二日経過した今日。クロノさんの言ったとおり、6つのジュエルシードが海底から発見された。反応からすると間違いないようだ。それらを封印するために僕たちは、シャボン玉に包まれるような形で防御魔法を展開して海底へと向かっていた。本来であれば、武装隊の人かユーノくんが防御魔法の役割だったのだが、封印魔法を使うなのはちゃんが僕を推薦したため、僕が出ることになった。

 万が一を考えれば、僕ではないほうがいいのだが、万が一がおきれば、なのはちゃんが何とかできるため、僕でもまったく問題がないようだ。それに水深などから考えれば、武装対の人では少し不安があり、ユーノくんは万が一のために海上に待機してもらっている。いざとなったら転移してもらうのだ。

 そんな万全な体制で、僕たちは今、海底への小旅行を楽しんでいた。海ならば水着になるのが妥当なのかもしれないが、目的が目的であるだけに僕は武装隊のバリアジャケット、なのはちゃんも聖祥大付属の制服のようなバリアジャケットに身を包まれたままだ。もっとも、旅行と言ってもアースラによる封時結界に包まれたこの海域は僕たち以外の生物はいないので海の景色しか楽しめないが。加えて、海という壁が海上の音も消してしまい、隣のなのはちゃんの呼吸する音すら聞こえてきそうなほどに静かだった。まるで、この世界には僕となのはちゃん以外には誰も存在しないようだった。

「なんだか、二人だけの世界みたいだね」

 僕がそんなことを考えていたからだろうか、あるいは、なのはちゃんも似たような感想を抱いていたのかもしれない。不意に、なのはちゃんが僕に向けて、何が嬉しいのか満面の笑みを浮かべて言う。

「そう、だね」

 僕も似たような感想を抱いていたから、なのはちゃんの感想には頷くしかないのだが、なのはちゃんの嬉しそうな満面の笑みと違って、僕は嬉しいというよりも寂しいというような感情を持っていたので、なのはちゃんへの返事は歯切れの悪いものになってしまった。それを疑問に思ったのだろうか、なのはちゃんは少し小首をかしげて不思議そうに僕に尋ねてきた。

「どうしたの? ショウくんは、こんなのは嫌?」
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