無印編
第二十一話 後
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緒に銭湯に行きましょうか?」
「銭湯?」
「温泉じゃないけど、大きなお風呂のことよ」
海鳴には公衆浴場という形で一つだけ大きな銭湯があった。仕事帰りや海辺をランニングして汗をかいた人たちをターゲットとしているらしく、客入りはそれなりだと聞いている。母さんは温泉の代わりにそこへ行こうといっているらしい。もっとも、正確にいえば、温泉と銭湯では、色々異なる部分が多いのだが、アリシアちゃんは、大きなお風呂という説明の部分に興味があったらしい。
少しだけう〜ん、と考えていたかと思うとすぐにぱあ、と顔を輝かせると、うん、と大きく頷いた。
どうやら、彼女の中で、僕と母さんを天秤にかけた葛藤はどうやら母さんの方に軍配が上がったらしい。
それはそれで、悲しいものがあるというか、なんというか、という感じであるが、あのまま、ごねられる、あるいは、最終的に泣かれるよりもいいか、と自分を納得させ、丸く収まったことを喜びながら、残りの晩御飯に手をつけるのだった。
◇ ◇ ◇
僕となのはちゃんがジュエルシードの捜索に協力するようになって三日が経過した。
世間ではすっかりゴールデンウィークに突入し、僕たちの学校も9日という長い長い休暇に入った。この休暇に入る直前にアリサちゃんからは温泉旅行を絶対に忘れるな、と釘が刺されるし、夜には必ず一回メールが入ってくる。幸いなことにアリサちゃんとのお母さんと僕の母さんとの電話会談は円満に終わったらしく、快く了承を貰っている。
さて、世間では行楽地が賑わっている、高速道路が渋滞している、新幹線の乗車率が100%を越えているなどの情報がニュースを賑わせている最中、僕たちは、というと――――
「おい、そっちいったぞっ!」
「任せろっ! オラオラオラッ!!」
「って、全然利かねえ……」
僕の目の前で、大きな怪鳥を相手にするためにバリアジャケットに身を包んだ3人の武装隊の人たちが、空を飛びながら魔法をぶっ飛ばしていた。さながら、映画の怪獣大決戦のようだ。
場所は、海鳴市の端の方に位置する森林地帯。そこでジュエルシードの反応を見つけた僕となのはちゃんは、武装隊の人たち6人とユーノくんと一緒に出撃していた。本来なら、暴走する前のジュエルシードを相手にする予定だったのだが、鳥の巣にあったジュエルシードを手にする直前に巣の主にその現場を目撃され、怪鳥が召還されてしまったのだ。
ユーノくんの見立てでは、僕たちは宝物を横取りする敵と認識されたらしく、力を求めたため、怪鳥に進化してしまったらしい。野鳥なだけに本能に忠実であるらしく、比較的願いに添う形でジュエルシードが暴走してしまったようだ。今は、それを何とかするために前衛の3人の武装隊の
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