無印編
第二十一話 後
[13/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んを抱いていた腕も、彼女の細腕からは考えられないほどの力で無理矢理振りほどかれた。
僕に抱かれたアリシアちゃんは、ガタガタと震え、虚ろな目をしながら、ちがう、ちがうと壊れたテープレコーダのように繰り返すだけだった。
「翔太っ!!」
アルフさんが叫ぶが、彼女たちはそれを意に返さない。僕も暴れるが、リニスさんの腕から逃れることはできそうになかった。
「申し訳ありませんが、少し大人しくしてもらえますか?」
逃げられないとはいえ、うっとおしかったのか、その言葉の直後、アルフさんと同じようにチェーンバインドで僕も芋虫のように拘束されてしまった。
「さあ、もうここに用事はないわ。帰るわよ」
「はい」
彼女の言葉と同時に僕たちの真下に彼女たちが出てきたときと同じような魔方陣が展開される。おそらく、これも転移の魔方陣だ。もしかして、どこかに連れて行かれるのか? と恐怖に駆られる僕を見て、魔女は、何か面白いことを思いついたように笑い、ゴミと呼んだアリシアちゃんの方に視線を向ける。
「ああ、そうそう。これでもう本当に会うこともないでしょうから言っておくわ」
そういうと話を聞いていないだろうアリシアちゃんに向かって、魔女は意地の悪い、アリシアちゃんが壊れることが本当に嬉しそうな笑みを浮かべながら、崩落の呪文を唱えるように口を開いた。
「おまえのことなんて、最初から大嫌いだったのよ」
その魔女の言葉に反応して、アリシアちゃんは大きくビクンと身体を震わせると、虚ろだった目を見開く。
「あっ、あっ、あっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああっ」
まるで壊れる間近の断末魔のような絶叫。それほどの不安に駆られるような声だった。
「フェイトっ!」
「アリシアちゃんっ!」
呼ぶ名前は違えど、心配するような声が彼女に向かって僕とアルフさんの声が同時に飛ぶ。
くそっ、と思わず悪態ついてしまう。
こんなときに魔法を使えない僕が歯がゆい。今日のジュエルシードの探索で殆どの魔力を使ってしまったのだ。いや、正確にはあるのだが、これ以上、魔法を使っても発動しないだろう。デバイスがあったとしても同様だ。だが、なんとか抜け出そうと身体を動かすのだが、これも上手くいかない。アルフさんも同様に抜け出そうとしているが、やはりリニスと呼ばれた女性のチェーンバインドが解けることなかった。
一方、魔女は、僕たちの行動が相当不快であるように顔をしかめていた。
「リニス、ゴミをアリシアと呼ぶような口は閉じてしまいなさい」
「はい」
その声と同時に僕は、首筋に強い衝撃を受る。
首筋から受けた衝撃は綺麗に脳を揺らしたのか、ものすごい眠気
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ