無印編
第二十一話 後
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そこから血が流れ始めていた。しかも、呟いていた声が少し大きくなっていた。
「違う違う違う違うちがうちがうちがう、わたしはゴミなんかじゃない、贋物じゃない、捨てられてない、わたしはアリシア。フェイトじゃない、アリシアだ。お兄ちゃんの妹でアキがいて、アルフがいて、母さんがいて、わたしは、わたしは、わたしは……」
「バカを言うなっ!! おまえはアリシアなんかじゃないっ! あなたはただのゴミっ! 贋物にすらなれなかったただのゴミよっ!」
アリシアちゃんの呟きが聞こえたのか、魔女の女性はアリシアちゃんの自己催眠のような呟きをかき消すような形相と声で、アリシアちゃんの声を否定する。アリシアちゃんのすべてを否定するように彼女は叫ぶ。
「あ、あ、あ、あああああああああああああっ!!」
ぽろぽろと涙を流しながら、魔女の言葉に耐えるように叫ぶアリシアちゃん。僕はその姿を見ていられなくなって、思わずそのままアリシアちゃんを抱きしめた。だが、彼女は叫ぶことをやめず、僕にはどうしようもなかった。
「糞婆ぁぁぁ!!」
彼女の言動が許せなかったのか、僕たちを護るように立ちはだかっていたアルフさんが動いた。そのしなやかな動きは、まるで狼が得物を仕留めるときのようにすばやいもので、誰も反応できないと思っていた。当の本人である魔女でさえ。しかし、この場にはもう一人いることを僕はすっかり忘れていた。
「チェーンバインド」
その声と同時に黄色の魔力光の鎖に縛られるアルフさん。その魔法は間違いなくチェーンバインドだった。アルフさんもそれから逃れようともがくが、その鎖が外れることはなかった。
「アルフ、無駄ですよ。あなたに魔法を教えたのは誰だと思っているのですか?」
「リニス……あんた……」
どうやら、従者のようにしたがっていた猫耳の女性は、リニスという名前らしい。しかも、アルフさんと既知のようだ。一体、どういう関係なのだろうか? と考えていたが、どうやらそんな暇はないようだった。
チェーンバインドで繋がれたアルフさんを尻目に魔女が近づいてくる。
「そうそう、ゴミのことなんてどうでもいいのよ。本当の用事は、貴方なのだから」
「僕には、あなたに用事なんてありませんよ」
彼女の用事はどうやら、僕らしい。僕は必死に抗おうとするが、恐怖に怯える本能の下にある冷静な部分では、彼女に抗うことは無駄だと判断していた。
「そう、でも、あなたの意思なんて関係ないの」
すぅ、とリニスと呼ばれた女性に目配せすると彼女は、僕に近づいてきた。逃げようとするが、胸に抱いているアリシアちゃんを放すわけには行かない。よって、殆ど逃げられもせず、僕は彼女に首根っこをつかまれ、片手で持ち上げられる。僕がアリシアちゃ
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