無印編
第二十一話 中
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実だ。これが、思春期にも入るとやがて社会の中で自分が孤独であることに気づく。そして、人は孤独を恐れ、故に人を求めるようになる。その処世術として他人に合わせる、といったような意識が生まれるのだ。
つまり、今の二人に周りに合わせろ、といっても理解できないことは容易に伺えた。
しかしながら、今更、やっぱり別々に食べようとはいえない。二人には、もうおかずはいいから、とおかずをお裾分けしてもらうのはやめてもらったが、お互いに自分のご飯に箸をつけずに僕を見ていた。
僕がすずかちゃんのおかずに箸を動かせば、なのはちゃんが反応し、なのはちゃんのおかずに箸を伸ばそうとすれば、すずかちゃんが反応する。
僕は一体、どれから食べればいいんだろうか?
あ、あははは、と自分でも分かる引きつるような笑みを浮かべながら、この場にまるで自分は蚊帳の外ですよと平然な顔をしているアリサちゃんに助けを求めるような視線を向けてみるが、彼女は僕と目が合うと、あたしは知りません、といわんばかりに顔を逸らされてしまった。
これは、困ったな。
結局、なんとか必死に、二人とも不快にならないように気を使いながらおかずを選ぶように昼食を食べるしかなかった。おそらく、前世もあわせて、一番気を使った昼食だっただろう。しかも、その所為で、おいしいはずの昼食の味はまったく感じられず、散々な昼食になってしまったのだった。
◇ ◇ ◇
一日の中で一番疲れたんじゃないだろうか? という昼休みを過ごし、午後の授業が終わった後、僕はなのはちゃんと合流して、アースラへと向かっていた。
アースラには既に恭也さんと忍さんとノエルさんが控えており、すでに僕たちを待ち構えていたように話し合いのテーブルはできていた。しかし、それは前回のように典型的な日本庭園風の部屋ではなく、どこかの会社の会議室とでも言いたくなるような部屋だった。
片方のサイドに地球組、もう片方にリンディさんたちアースラ組みが座る形だ。アースラ組みの参加者は、リンディさんに加えて、クロノさん、エイミィさん、ユーノくんだった。一様に誰も彼もが硬い表情をしている。それだけで、これからの話し合いが厳しいものになるであろうことが容易に伺えた。だからだろう、恭也さんたちも彼らに釣られるような形で表情が硬いのは。
そんな堅い空気の中、おもむろにリンディさんが立ち上がった。
「それでは、皆様、お集まりいただけたようなので、始めさせていただきます。まず、昨日のなのはさんに関する件ですが―――」
ふ、とその場にいた全員の視線がなのはちゃんに集まる。とつぜん、その場にいる全員から見つめられるような形となり、なのはちゃんは、びくんと肩を震わせると肩を小さくして、身体を
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