無印編
第二十一話 中
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まっているから。だが2人ならば、他の人数のグループに入れるよりも楽だろう、と考えた。
しかも、彼女たちはお互いに面識があるはずだ。もっとも、前回はアリサちゃんが拗ねたような形になって、不機嫌になっていたが、それでも何度か僕と一緒に遊べば、時間が解決してくれるだろう。すずかちゃんはあの時、特になんの変化も見せていなかったし、もしかしたら、アリサちゃんの間に入ってくれるクッションになってくれるかもしれない。
そう考えて、僕はなのはちゃんとの昼食を了解し、アリサちゃんたちとも一緒の昼食を考えたのだが、まさか、すずかちゃんとなのはちゃんがお互いに張り合うようにお弁当を僕に差し出して、二人の間に火花が散るような雰囲気になるとは夢にも思わなかった。
なんでこうなったんだろう? と考えてみる。
すずかちゃんがお弁当を差し出してくるのは、つい数日前―――正確には僕がすずかちゃんの一族を知ってからだ。この行動を僕は、彼女が彼女の一族を知っても友人でいてくれることに対するお礼―――あるいは、彼女の予想を覆す人物がいることに舞い上がっての行動だと考えている。
正体を知られれば、忘れられる、あるいは、怯えられるという恐怖は幼い子ども心にどれだけの負担だったのか、僕には想像もできない。だが、彼女の舞い上がり方から考えれば、その負担は僕の想像以上に重かったのかもしれない。
一方、なのはちゃんがすずかちゃんに張り合う理由は、やはり昨日のことが尾を引いているのだろう。彼女の流した涙が本物である以上、彼女が望んだのはやはり、なんの利害関係もない友人だったはずだ。恭也さんの話から考えれば、なのはちゃんはそんな友人を探していたのか、諦めていたのか分からない。
だが、少なくとも僕という友人ができた。しかも、昨日の今日だ。そんな友人が、他の子―――この場合は男の子でも女の子でも変わらない―――と仲良くしていれば、せっかくできた友人を取られたくない、と考えるのは至極妥当だろう。
つまり、少なくとも二人を引き合わせるのは時期尚早だったのだ。磁石の同極を近づけてしまったようなものだ。早くなのはちゃんに僕以外の友人を―――と逸ってしまったのが原因だろう。しまった、と後悔してももう遅かった。まさしく、覆水盆に返らずだ。
次々とすずかちゃんのお手製のおかずが差し出され、それに対抗するようになのはちゃんも自分のお弁当からおかずを取り出す。まるでお互いに競い合うように。二人とも敵愾心丸出しだった。
お昼時なんだから、少しはあわせようよ、と考えてしまうのは僕が二十歳の精神年齢を持っているからだろうか。
基本的に子ども―――思春期に入る前の子どもの世界は狭い。自分が中心といっていい。だから、我侭も簡単に言うし、自分がやりたいことに忠
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