無印編
第二十一話 中
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当食べよう?」
「あ、うん」
僕の予想通りの言葉を口にしながら、まるでお弁当を協調するように掲げながら笑顔で言う。すずかちゃんの笑顔を見ながら、僕はぼんやりとそういえば、昨日、約束していたな、と昨日の昼休みを思い出していた。
さすがに昨日はなのはちゃんのこともあって、約束のことは曖昧になっていた。もしも、すずかちゃんよりも先に誰かが僕をお弁当に誘っていたら忘れていたかもしれない。約束したのに、それを破るのは子どもの世界とはいえ、いや、子どもの世界だからこそ最悪だ。だから、僕はすずかちゃんが一番最初に話しかけてくれたことに胸をなでおろしながら、休み時間に母さんたちが持ってきたくれたお弁当箱をを手にして席を立った。
すずかちゃんとお弁当を食べるときはアリサちゃんも同席するのが暗黙の了解だ。だから、まだお弁当を取り出していたアリサちゃんの席へと近づく。
「アリサちゃん?」
「ええ、行きましょう」
アリサちゃんはいつもどおりの小さなお弁当箱を手にして、僕たちに並んだ。
さて、食べることは決まったのだが、食べる場所が問題になる。教室でもいいのだが、今日の天気は適度に雲がある晴天だ。こんな天気の日は、基本的に屋上か、中庭で食べることが多い。もちろん、春爛漫な今の季節だからだ。
今日はどっちにする? とすずかちゃんとアリサちゃんに伺っている途中、不意に僕だけに聞こえる声が響いた。
―――ショウくん? ―――
その正体は念話だ。この学校で少なくとも僕と念話で話せるのは、なのはちゃんしかいない。僕は、マルチタスクでアリサちゃんたちと話をしながら、なのはちゃんと念話を交わすことにした。
―――なに? なのはちゃん―――
―――あ、あのね。一緒にお昼ご飯食べよう? ―――
念話とは、基本的に思念波で思っていることがダイレクトに伝わる。もちろん、考えていることが全部伝わることではなく、念話に載せたいと思っていることだけだ。それにも関わらず、なのはちゃんの念話には緊張の色が手に取るように分かった。
そういえば、なのはちゃんから誘われるのは初めてだな、と思いながら、やっぱり昨日のことが原因なのだろうな、と僕は思った。
現時点で、本当の意味で友人といえるのは僕だけだ。だが、それでは、あまりに味気なさ過ぎるだろう。だから、早く他にも友人を作って欲しいんだけどな……とそう考えたところで、僕の脳裏にある考えが浮かんだ。
つまり、僕の隣にいる彼女たち―――アリサちゃんとすずかちゃんだ。
彼女たちは、自前の精神年齢の高さからか、お互いに友人を作っておらず、二人で1グループを作っている。もしも、これが5人や6人なら、1人入れることは不可能だ。もはやそこで固定してし
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