無印編
第二十一話 前
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トレスが溜まるというし、お風呂などのストレス発散は必要なのだろう。お風呂に入る際、なのはちゃんも一緒に入ってこようとして焦った。他の人もいるから、と何とか説き伏せたが、なのはちゃんの目は本気だったのだから恐ろしかった。
お風呂に入ってさっぱりした僕たちは制服に着替えた後、トランスポートの場所まで来ていた。学校への道具は昨日のうちに準備済みだ。なのはちゃんのほうも気になったが、それは恭也さんがしっかりと準備してくれていた。だから、僕もなのはちゃんも準備万端で、しかも、アースラの人たちの好意で、学校の屋上に転移してもらえることになった。
学校へと出発する前、なんと僕たちを見送るためにクロノさんとリンディさん、エイミィさん恭也さんが来てくれた。
「なのは、お弁当だ」
今から行こうとする前に恭也さんがなのはちゃんにお弁当を手渡していた。そういえば、なのはちゃんのお弁当を見て、思い出したが、今日のお弁当はどうしよう? 大学生や高校生にでもなれば、学食という手段があるのだろうが、さすがに小学生にその手段はない。後で、母さんに電話してみることにしよう。いくらなんでもクラスの中でおかずを集めて回るわけにはいかないだろう。
なのはちゃんにお弁当を渡した恭也さんは、なぜか僕の方に向き直って、がしっ、と肩をつかまれ、真剣な表情で僕を見据えたまま口を開く。
「翔太くん、なのはのことを頼んだぞ」
それは、兄としての心配なのだろう。昨日、あんなことになったのだから、当然といえる。僕もなのはちゃんにはできる限りのことはするつもりだったから、笑って応えた。
「任せてください」
僕の返事に満足したのか、恭也さんは真剣な表情から笑みに変えると、ポンと頭を軽く撫でるように叩いて、僕から離れていった。
「「いってきます」」
「はい、いってらっしゃい」
クロノさん、リンディさん、エイミィさんに見送られて、僕たちはトランスポートの中で魔力の光に包まれるのだった。
◇ ◇ ◇
登校時間は一秒にも満たないほどの時間だっただろう。転移魔法によって屋上に転移したのだから当たり前だ。登校する時間はいつもどおりの時間であり、お昼は昼食を食べる学生で賑わう屋上もさすがに朝から顔を出している学生は誰もいなかった。
「行こうか」
こんな場所にいつまでも用事はない。だから、僕はなのはちゃんに声をかけて、屋上から階段へと続く扉のノブに手をかける。それと同時にノブに手を伸ばした逆の手に感じる温かい感触。それは、朝にも感じた温かさであったが、あまりに唐突のことだったので、その温もりの持ち主であるなのはちゃんに顔を向けてみるが、彼女はほにゃっとした柔らかい笑みで僕の視線を受け流すような笑みを浮
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