無印編
第二十一話 前
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、リンディさんたちのところに行こうか」
「うん」
僕の提案にあっさりと笑顔のまま返事をするとなのはちゃんと僕はベットから降り、ベットの真下に置かれている靴に足を通した。艦内は、基本的に土足らしい。僕と逆方向に下りたなのはちゃんは、ベットの端を回って、ピンク色のパジャマのまま僕の前に立った。
「ショウくん、行こう」
笑顔のままなのはちゃんは、手を差し出す。その手が意味することが分からないわけではない。ただ、なのはちゃんの意図が分からなくて戸惑ってしまったのだ。昨日までのなのはちゃんは、こんな行動にはでなかったはずなのだが、と頭を回してみれば、昨日との違いは明確だった。
――― 一緒に手を繋いでくれる?
そのなのはちゃんの言葉に頷いたのは僕だ。おそらく、なのはちゃんは、愚直に僕の言葉を信じたのだろう。だから、屈託のない笑みで、僕を信じきったような笑みで手を差し出してくる。
とてもじゃないけれども、僕にはその笑みを裏切れるような度胸はなかった。
「うん、そうだね」
だから、僕は、なのはちゃんに頷きながら、なのはちゃんが差し出した手を取るのだった。僕の手が触れると同時に僕の手は、子ども特有の柔らかさと暖かに包まれた。そして、ぎゅっ、と力を入れられる。そんな風に力を入れなくても、僕は逃げないのにな、と思いながらなのはちゃんに顔を向けると、なのはちゃんは、えへへ、と照れ笑いを浮かべていた。
女の子と手を繋ぐのは、さすがに恥ずかしかったが、今更なのはちゃんが手を離してくれる理由もなく、また、このまま立ち止まっていても仕方ないので、僕はなのはちゃんを先導する形で先に歩き始める。なのはちゃんは、僕の隣を嬉しそうに歩いていた。
並んで部屋から出た僕たちは、まず食堂に行くことにした。僕もなのはちゃんもお腹がすいているからだ。当然といえば、当然だった。なぜなら、僕らは昨日のお昼から何も食べていないのだから。しかし、困ったことに僕となのはちゃんはこの広い艦内のどこに食堂があるのか分からない。どこぞの施設のように案内図があればいいのだろうが、そんなものは見つかりそうになかった。
さて、どうしよう? と曲がり角で悩んでいた僕たちに救いの手を差し伸べてくれたのは、なのはちゃんの様子を見に来たのであろうクロノさんだった。
「やあ、おはよう。なのはさんは、気分が悪いとかないかい?」
さわやかな挨拶の後、なのはちゃんの身体を気遣うクロノさん。昨日、あれだけ一方的にやられたのに、普通になのはちゃんと接することができるクロノさんは、さすがだった。これが執務官という職業なのだろうか。
一方、なのはちゃんは、クロノさんの質問に首を横に振って答えていた。その答えにクロノさんは安堵の息を吐いていた
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