無印編
第二十一話 前
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僕のその日の目覚めはあまりすっきりしないものだった。僕が別段、低血圧であるわけではない。なぜか、眠りが浅かった時のような感覚だ。なんで、低血圧なんだろう? と理由を考えながら、まだ重い瞼をこすりながら考えていると上半身を起こした僕の隣から声が聞こえてきた。
「おはよう、ショウくん」
「あ、うん。おはよう?」
隣から聞こえてきた挨拶に思わず、そのまま当たり前の返事を返してしまったが、その途中からふと、どうして、僕の部屋に人がいるんだろう、という疑問が浮かんでしまって語尾が上がってしまった。起きたばかりで焦点が合っていなかった目が、ようやく眠気より慣れてきたのだろう、ぼやけていた情景がはっきりと分かるようになると僕の隣にいたのが、いつものツインテールというには短い髪を下ろしたなのはちゃんだということが分かった。
はて、なぜ、なのはちゃんが僕の部屋にいるのだろうか? と周囲を見渡しながら考えてみたが、どう見ても、真っ白な部屋でベット以外には殆ど何もないといってもいい簡素な部屋は、僕の部屋ではなかった。
一瞬、考え込んでしまった僕だったが、すぐに昨日の夜の記憶を掘り起こすことができた。
ああ、そうだった。昨日は、なのはちゃんの様子が心配で看病して、なのはちゃんの本音を聞いて、そのまま一緒に寝ちゃったんだ。
女の子と同じベットで寝るなんて、よくよく考えれば、恥ずかしいことなのかもしれないが、幸いにして僕たちは、まだ年齢が二桁も達していない年齢。まだまだ、恥ずかしいと思えるほど心が成長していない。しかし、ならば、僕は精神年齢だけなら二十歳であるはずなのだが、それでも浅いながらも眠れたのは、身体に意識が引っ張られたのか、あるいは、僕がなのはちゃんと友人と思いながらも妹に近い感覚を持っているからなのか。多分、両方だろう。現にアリシアちゃんとは同じ部屋で寝ても普通に眠ることができるのだから。さすがに毎日だと慣れたと言い換えてもいいのかもしれないが。
なんだか、慣れてはいけないものに慣れてしまったような気がする。
深く考えるのはやめよう。僕の中の何かにすごく深い傷を負ってしまいそうだ。
あ、そういえば、今は何時なのだろうか?
ふと、眠る前に枕の傍に置いたままの携帯電話に手を伸ばして、時間を見る。携帯電話の時計が示していた時間は、僕が毎日起きる時間よりも一時間程度早かった。なるほど、少し眠いのは、ベットが変わって眠りが浅いだけではなく、一時間早く目が覚めたからなのか。
寝なれている家のベットなら二度寝を考える頃だが、このままなのはちゃんの隣で二度寝ができるほど図太い根性をしていない。だから、僕は、改めてなのはちゃんに向き直って提案する。
「このまま、ここにいても仕方ないから
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