第五話 過ぎ去りし日々(短編集)
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毒を持ちの敵とは遭遇していないはず、まさか目視できないほどの奴だったとでも言うのか。確かにその可能性はあるが、しかし俺の視力はグルメ細胞により常人よりは遥かに優れている。何より敵がいたのなら感知できる自信がある。
そうなると残りの可能性は……俺が狩り、食したこの獣が持っていた毒?だが、こいつが毒持ちではないことは調べがついている。
突然変異種で毒を持っていたとしても変異種なら色違いなどの特徴が体に出るはず。こいつは確かに普通の獲物だった。いや、抗体持ちだとしたらどうだ?
俺がこいつを狩る直前に毒持ちの動植物を食し、その毒が残ったままだとしたら。しかも加熱による影響をも受けないタイプの毒だとしたら……これが正解っぽいな。
気だるい体に鞭を打ち、瞳を閉じて集中する。毒を受けたときの対策は二つしかない。一つはそれを解毒できる物を食すこと。もう一つはこの毒に対し抗体を作り上げること。
精神を集中させ、身体の内部にある毒をイメージで認識する。そうイメージだ。俺は身体の構成などの医学的知識はない。だとすればせめて想像力でそれを認識しその毒の抗体を作り上げるしかない。
座禅を組みながら、神経を研ぎ澄ます。すでに俺の身体から毒素を押し出そうと汗が止めどなく流れ出し床に滴り落ちている。それが溜まりに溜まって水たまりになっているほどに。
それから何時間経過しただろうか。食事をしたときは昼だったはずなのに、外は夕日が沈もうとしている。徐々に楽になってきた身体に安堵しつつもまだ気を抜けないと踏ん張る。
さらに一時間程して、無事身体から痛みは消え思うように動くことができた。
「し、死ぬかと思ったぁ〜」
床に大の字に倒れこむ。少し乱れた息を整えるようにしてこれからのことを考える。さすがにこんなことはもうご免だ。やはり、徐々に抗体を作っていくのがいいだろう。動植物から毒を取り出して物によっては数十倍に薄めて徐々に体に慣れさせていくのが無難だ。だけどその前に
「飯だな。飯。腹が減っては何とやらってね」
獲物を食べてあんな思いをしたのにすぐにでも食べたくなるのはこの世界の食べ物が美味しすぎるせいか、それとも俺が図太くなったのか……前者であることを祈ろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
無人島生活四年目ぐらいかな。多分そのくらい。
自宅の洞窟の内に一日事に線を増やしていき五日経つと「正」になるようにして数えているのだが最近増えすぎて新興宗教みたいな穴蔵と化しているので怖い。いい加減引っ越そうとも思うのだが、どうも愛着が湧いてここを離れられない。結構安全だし。
捕獲レベルも二十前後ならば捕らえられるようになってきて食の選
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