第五話 過ぎ去りし日々(短編集)
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シャキシャキとした歯ごたえのバナナきゅうりとよく合う。
それにバナナきゅうりは栄養価が高く、エネルギー吸収に優れてるから傷ついてる今の俺にはベスト!ってわけだ。もぐもぐ。
そしてシャクレノドンの焼けた肉は鍋にせずそのままアゲハコウモリの香辛料を使いステーキにして食べる。きめ細かい美しい霜降り、さわると溶けてしまう脂肪、甘みと深みのある旨み……まさに極上の肉。歯ごたえは確かにあるのに、次の瞬間にはとろけてしまう何とも言えぬ食感。濃厚な旨みが口の中全体に広がっていく。至福の時間だ。美味ィ!
その二品を平らげた所で、鍋の中を覗き骨でバロンタイガーの肉をつつくとすでに柔らかくなっていた。はやっ!恐るべしシャクレノドンのダシ。
火を消して、仕上げにポキポキキノコとビアロブスターを入れる。
「んじゃ、いただきますっと」
まずはバロンタイガーの肉を頬張る。筋張ってはいるものの思ったより柔らかくなっていて、歯ごたえのある肉となっていた。意外と食べれるな。
続いてはポキポキキノコ。これは湯通しをしなかったためポキポキとした食感が残っており、それがたまらなくクセになる。
ビアロブスターも豚骨に似た汁が身に絡まりプリプリの歯ごたえとよく合う。そして残った汁を最後まで飲み干し完食した。
「ごちそうさんでした」
まさか二頭丸々食べきってしまうとは自分でもビックリだ。自身の身体を見てみると先の戦闘で負った傷がもうなくなっている。回復力も有り得ないな、さすがグルメ細胞。以前よりも力も電気総量も上がっている気がする。
「さて、今日は少し早いが寝るとするか」
こうしてまだ昼過ぎだというのに俺は就寝した……翌日バロンタイガーの皮と牙が無くなっており激怒した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
無人島生活一ヶ月と少し経ったある日俺はいつものように狩りを終え、唯一の楽しみである食事を終えたときそれは起こった。
突然の腹痛。前世ではたまにあることだった。誰しもが生きてきて経験したことがあることだろう。しかし俺はすぐに疑問に思った。何故グルメ細胞を所持している俺が腹痛に見舞われているのだろうと。
今の俺ならば生肉をそのまま食らっても食当たりを起こすことなどない。生きた魚をそのままかぶりついたとしてもお腹を壊すことはまずない。それは実証済みだ。
ならば何故?と言う疑問はすぐに晴れた……状態異常の悪化によって。
腹痛は初期段階。その後すぐに全身に痛みが襲いかかった。止めどなく流れる汗は暑さによるものではない。震える手足に、霞みゆく視界。
――それは毒。それも俺の体に害をなす程の猛毒。
一体いつ俺は毒を受けたんだ。
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