第二章「クルセイド編」
第二十一話「魔法外科医」
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でバラバラにされたバルディッシュ共々メンテナンス中のドラゴンソウルを引っ掴んで来そうな勢いだ。
だが鬼も裸足で逃げだすだろうその覇気にティーダは一切怯まず対次元世界最高賞金首専用最終兵器の渾名を持つ少女の名前を朗らかに呼んだ。
「アっズリ、アさーん♪」
「………………………………………………………………………………………………………………………………」
彼女、アズリア・セルフィーユは再びビンをさかさまにした。
再度エレギオの断末魔が窓を振るわせたのは言うまでも有るまい。
−−−−−−−−
『過剰負荷』と言う言葉が存在する。
主に魔力を持った魔法の初心者がデバイスも無しに無茶苦茶な術式で魔法を使うことによって起こる障害のことを魔法文化のある世界の医学においてさす言葉だ。無理に限界を超えようとするとこうなる、と言う事のこれ以上無いほど分かりやすい例の一つだと言えるだろう。
だが、逆に言えばこれはキチンとした術式で魔法を使えば決して起こりえない話でもある。新暦65年になった今では中々聞ける話ではない。新暦以前なら話は別だが生憎エドワードは六十五歳を超えるような老人ではなかった。有名な症状であるが為にその詳細を知ってはいたが一人の医者としてその症状に挑むのは初めてである。
「ああ、う、ああ」
奇妙な光景だった。目の前に横たわる少年は赤子のような言葉しか発せず起き上がることもできず人間としてのあらゆる物が捨てられてしまった様な気さえした。
だが。
人間としてのあらゆる物が捨てられていたのだとしたら。
その瞳に宿る凄まじく強い意志を誰が説明できると言うのだろう?
「……ククッ」
「ああ、うあ」
「そんなに睨むなよ。全く、ホントに脳にダメージ行ってんのか?」
本の少しだけ眼を瞑りながら軽口を叩く。口元には微笑みさえ浮かべて。
次に目を開いたときにはあのナイフのような眼に戻っていた。
「全身麻酔」
その言葉と同時に、電池が切れたようにリオンはその意識を落とした。
ほぼ同時にエドワードは指示を飛ばす。
「魔力刃メス」
「ハイ」
即座に動く助手。横目で見ながらエドワードは頭の中で人体とリンカーコアの方程式を組み立てる。その課題をメスを受け取る数秒間の間でこなすと首を回してただ一言「よし」と呟いた。
灰色に光る魔力刃メスを患者の胸に突き立てる。一見して命を救うのとは真逆の行為にも見えるそれは、それでも胸から血は吹き出なかった。その代わりになにやら紫色に光るピンポン玉位の大
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