暁 〜小説投稿サイト〜
儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十一話「魔法外科医」
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
針だろうか。素人には到底判別できない何かがギラリとその肉厚の刃を光らせた。

−−−−−−−−

「これより手術(オペ)を開始する。まず先にこっちからだ」

そう言って移動可能の車輪付きベッドに横たわったフェイトに歩み寄る。迂闊にメスに手を伸ばすような真似はせず、まずは氷の様に静かに観察するところからエドワードは手術(オペ)を始める。じっくりとミスをしないように、それでいて迅速に。

「……患者は強力な回復魔法によって腕と右目を治療された痕跡あり」

飽くまでも淡々とした口調でエドワードは言う。

「だが広範囲の火傷、内臓及びリンカーコアの損傷あり。オペによってこれを切除、後に縫合する……シザー」

ハイ、と助手兼ね機材担当が指定された道具を渡した。シザー、つまり鋏を使ってエドワードはまず邪魔なバリアジャケットをチョキチョキと切って行く。ちなみに手術の際には服は当然脱がす暇もないのでこのように鋏でジャキジャキやってあとは焼却炉行きが確定するのだがバリアジャケットの場合はデバイスがどうにかなればどのようにも修復できるので後腐れなくやっちゃえるので医者からは地味に好まれていたりする。
物の数秒でバリアジャケットをバラバラにして脱がすことに成し、フェイトの幼い裸体が惜しげもなくさらされる。世の中の特殊(アブノーマル)な紳士諸君が(よだれ)をたらしそうな光景だがエドワードは眉をピクリとも動かさない。鋏をバケツに放り込むとすぐさま次の指示を発した。

「イソジン」

「ハイ」

茶色い消毒液を何の躊躇いも無くぶっかけそれを脇においてまた助手に眼を向ける。

「メス」

「ハイ」

手術の代名詞とでも言うべきその道具を、やはりエドワードは何の躊躇いも無く突き立てた。プツリ、と白い肌から玉のような血が出てきて見る見る膨らむ。だがその血も直ぐに輸血できるように整えておいたので全く気にしない。というよりもエドワードに言わせればこの程度で動揺するものには決して外科医は勤まらない。大胆に、慎重に、肌の切込みを開いていく。
切り口が開き中の様子が見えるようになってエドワードは漸くメスを止めた。

「コイツは……」

「どうかしましたか?」

「珍しいな、リンカーコアを含めた魔力回路と体の神経が同調(リンク)してる。
 リンカーコアが炸裂したんだろう」

ふむ、と一声唸って。それでも何の迷いも無く次の指示を飛ばす。この位は何の問題もない。と言うより外科的な治療において何か『問題』があるとすればそれは失敗のみだ。

魔力刃(ダガー)メスだ。リンカーコアに直接処置を加えて体の神経との同調を解除、その後リンカーコアを縫う」

「ハイ」

魔力刃メス。何の変哲も無い、なぜ電気メスがあるのにこのよ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ