手合せ
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われようが恨まれようが罵られようが………な」
「真紅狼さん、それは異常な考えですよ?」
「何故だ、エリザベス? 護るってのはな、簡単そうに見えて案外難しいんだ。むしろ、人を殺す方が簡単なんだぞ?」
真紅狼は淡々と言葉を紡ぐ。
その言葉の重さはまるで体験して来たような感じを含ませる程の雰囲気だった。
「俺は不器用なんだよ。暴力と言う圧倒的な力でしか人を護れない。………ま、今は“大切なモノ”や“愛する女性”がいないから、ただ壊すだけだがな」
時折、真紅狼が話している最中に見せる表情はどこか寂しげなモノに見えた。
真紅狼の言っていることは、とても理解できるが、理解しにくいところもあった。
まさに両極端な話だった。
だけど、私は真紅狼の言っていることが異常な考えとは思わなかった。
むしろ、こういう男がまだいるんだなぁ。と思ってしまった。
「(護ってもらうなら、真紅狼に護ってもらいたいな〜)」
………なんで、私はなんでこんなこと考えてるのよ?!
突然、頭の中に出てきた言葉を追い払った。
「アーネット、大丈夫か?」
すると、真紅狼の顔が目の前に来ていていた。
うわわわわっ!! 近い、顔が近い!!
「顔が赤いぞ? 熱でもあるのか?」
「だ……いじょうぶ。大丈夫だから///」
「そうか? まぁ、あんまり無理するなよ? 大きな怪我は無かったとは言え、無理をすれば、傷に障るぞ」
「え、ええ///」
「こんなところだ。疲れたから、帰っていいか?」
「あ、はい。有難うございました、真紅狼さん」
「なかなか有意義な時間だったよ、エリザベス。それとアーネット、お大事に」
真紅狼は席を立った後、伝票を持っていってしまった。
『ここは俺が払ってくよ』と言いつつ、手をひらひらと振りながら去っていった。
そして、私とエリザベスの二人になってから、エリザベスが突然口を開いた。
「………アーネット」
「な、なによ? エリザベス」
「貴女、真紅狼さんが好きですね?」
「な、ななな、何を言ってるのよ!!?」
「では、先程真紅狼さんが顔を近づけた時、顔が真っ赤になってましたが?」
「………抜け目ないね、エリザベス」
「で、どうなのですか?」
「………ま、まぁ、多少は………その////」
「もういっその事、二年に上がった時に決めるリミッターは真紅狼さんに決めたらどうです?」
「ちょっ、いきなりなんてこと言うのよ!?」
「まぁ、冗談ですが………」
「冗談に聞こえなかったんだけど?」
『そうですか?』とエリザベスは立ちながら言い、去っていった。
私はもうしばらく、火照った顔を冷ます為に一人で食堂にいた。
〜アーネットside out〜
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